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2021.10.29 Market Eye

ECB理事会(10月28日)の注目点

ECBはインフレを“一時的”と総括、現行緩和策を継続

  • ECBは本会合でインフレを巡る徹底議論のうえ、インフレは“一時的”であるとの評価を維持
  • ECBはユーロ圏の経済活動を“スタグフレーション”ではなく、“強い回復”が続く最中と評価
  • ECBと金融市場の織り込みに乖離、金融市場との対話を通じた“政策信用性“の改善が重要に

1.ECBは足元のインフレ率加速は一時的との見方を堅持、現行緩和策維持を決定

●ECB*理事会 声明文: 現行金融緩和策を維持

  1. 1.量的緩和政策: PEPP*購入枠を1.85兆ユーロとし、少なくとも22年3月まで、或いはコロナ危機が収束と判断されるまで購入する方針を維持。金融環境とインフレ見通しの評価の組み合わせに基づき、前2四半期よりも購入ペースを適度に引き下げても良好な金融環境は維持されるとの判断を継続する。
  2. 2.政策金利:インフレ率が予測期間の終わりまでに2%に達し、予測期間の残り期間も持続するとみられるまでは、現行、或いは、それ以下に政策金利を据え置く。

●ラガルドECB総裁記者会見: 足元のインフレは一時的と強調

  1. 1.インフレ動向: 「今年のインフレ率は一段加速を予想、高いインフレ率は当初想定より長期化するが、来年にかけて鈍化するだろう」「足元は政策金利に紐づくフォワードガイダンス条件を満たさず」
  2. 2.量的緩和政策: 「現時点で想定されるPEPP終了のタイミングは22年3月だろう」「PEPPの購入ペース減速は“テーパリング”ではない」「PEPPの今後については12月理事会で議論を行う」「本会合では英米中銀の政策決定からの影響については議論せず」

2.ラガルドECB総裁は金融市場の早期利上げ観測を一蹴、今後は“政策信用性”の改善が鍵に

●ECBはインフレ議論深める、長期期待インフレは過去平均並み

9月HICP*は前年比+3.4%と約13年ぶりの高い伸び率を記録する中、会見でラガルドECB総裁は“We talk about inflation, inflation and inflation”とインフレに関する議論を深めた点を強調し、足元のインフレ高進をエネルギー価格上昇やコロナ禍からの急速な回復に伴う“Supply-Demand Disconnection(需要と供給の断絶)”などの一時的要因によるものと整理しました。また、21年9月公表のECBによるオケージョナル・ペーパーでインフレ動向に関係するインフレ期待の議論も要約されています(図表2ご参照)。ECBはインフレ動向に細心注意を払う姿勢をみせる中、足元の長期のインフレ期待指標に過熱感はみられません(図表1ご参照)。

●ECBと金融市場の織り込みの溝を埋める鍵は“政策信用性”か

ラガルドECB総裁は会見でインフレに関する議論と政策金利に紐づくフォワードガイダンス条件を照応し、早期利上げ観測を退けました。一方、金融市場ではインフレ高進の長期化懸念や経済正常化に伴う回復を見込み、既に22年に1回の利上げを織り込んでいます。会見中の為替市場では、PEPPの22年3月終了や高インフレ環境の長期化を織り込み、ユーロ高が進むなどECBの思惑に反して先行き金融緩和策継続の決定打に欠けると評価した形です。主要国中銀で政策正常化の趨勢が強まる中、良好な金融環境を維持するためにはECBによる“政策信用性”の一層の改善が必要といえます。

  1. 本文、図中の*については、以下の<用語説明>をご覧ください。
  2. 当資料の使用に際し、以下の<当資料に関するご留意事項>を必ずご覧ください。

運用戦略部 投資戦略グループ 岸 平祐

〈用語説明〉

  1. *ECB … 欧州中央銀行(European Central Bank)。ECB理事会がECBの最高意思決定機関に該当する。
  2. *PEPP … パンデミック緊急購入プログラム(Pandemic Emergency Purchase Programme)。新型コロナウィルスの感染拡大を受けて導入された、ECBの金融政策のひとつ。
  3. *HICP … 調和消費者物価指数(Harmonised Index of Consumer Prices) 。欧州連合統計局がユーロ加盟国の消費物価指数をまとめた数値。

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