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ESGコラム

食品ロス削減へ②

基礎から学ぶ 2023年12月5日

7月のコラムでは、日本の食品ロスの現状・取り組みについてご紹介させていただきました。

食品ロスの削減は日本だけでなく、世界でも取り組むべき課題となっています。今回は世界の食品ロスの現状について見ていきましょう。

世界の食品ロスの現状

世界自然保護基金(WWF)と英国の小売り大手テスコの報告書によると、全世界で年間約25億トンの食品が廃棄されており、これは生産された総食品量の約40%に相当します。

その原因は、発展途上国と先進国で大きく異なります。
発展途上国では、技術不足により農作物が収穫できないこと、貯蔵するための冷蔵施設が十分でないこと、収穫した食物を消費者まで輸送するための車・道路などインフラ設備が整っていないこと等の理由から市場に出回る前に腐ってしまうことがあり、これが食品ロスの主な原因と言われています。
一方先進国では、食物の形状・外見が規格外という理由から捨てられることや、消費の段階での売れ残り・食べ残しなどが多く発生することが、食品ロスの主な原因と言われています。

世界の食品ロス発生量

なぜ食品ロス削減が求められているか

では食品ロスの削減が、なぜ世界でも取り組むべき課題となっているのか、2つの側面が考えられます。

①社会的な影響
現在、地球上には約80億もの人々が生活をしていますが、国際連合広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)報告書2023:特別版」によると、約3人に1人が中程度または深刻な食料不安に直面していると報告されています。その一方で、先進国では余った食料がまだ食べられるのに捨てられているのが現状です。

世界の人口は増加傾向にあり、必要な食料はますます増えていくと考えられます。世界の食料不安を軽減するために、食品ロス削減への取り組みが求められています。

社会的な影響

②環境への影響
廃棄された食品が埋め立て地や焼却場に運搬される過程や焼却の過程において、温室効果ガスが排出されます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第6次評価報告書(土地関係特別報告書)」では、2010~2016年の間、食品ロス及び廃棄は、温室効果ガス総排出量の8~10%に寄与したと報告されました。

環境への負荷削減のためにも、食品ロス削減への取り組みが求められています。

環境への影響

世界の取り組み

では食品ロス削減のために、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

例えば発展途上国では、食品ロスの主な原因で述べたように、技術不足により農作物が収穫できないこと、貯蔵するための冷蔵施設が十分でないこと等が課題となっています。

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、農業分野において食品ロス減少につながる取り組みを幅広く実施しており、機械化の推進、流通システムの改善など、2022年度は108億円の無償協力を農林水産分野へ行っています。また、収穫物の適切な保存方法や管理技術などの知識が浅い農家が多い地域においては、農業技能訓練・指導を行うプロジェクトを実施しています。

世界の取り組み

先進国においては、例えばヨーロッパ諸国では、廃棄処分対象になった食品のみを扱ったスーパーマーケットが存在しています。外観がわずかに傷ついたり、形が歪んだりしている野菜や果物、賞味期限が近いもののまだ食べられる食品などを販売しており、食品ロスを減少させる一環として注目を集めています。

また、ドギーバッグの活用も広がっています。外食などで発生した食べ残しを自宅に持ち帰る行為、またはその容器のことを「ドギーバッグ」といいます。アメリカが発祥と言われており、ドギーバッグが用意されている飲食店も存在しています。

世界の取り組み

食品ロスの削減のために、世界では様々な取り組みが行われています。

食品ロスの課題解決のためには、世界が協力して取り組むこと、そして個人の意識を高めることが求められています。

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