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ESGコラム

「ESG」とチョコレートの
「甘い関係」!?

楽しく学ぶ 2023年4月28日

最近、新聞や雑誌等で「ESG」という言葉がよく出てきます。「ESG」とは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉なのですが、企業が長期にわたって成長するためには、経営におけるこの3つの観点からの取り組みが重要だという考え方が、世界中に急速に拡がっているわけです。

地球規模で考えた場合、いま温暖化や水不足などの環境問題、或いは人権問題や差別などの社会問題など、人類は様々な課題に直面しており、持続可能で豊かな社会の実現を目指すためにも「ESG」への取り組みは、今後ますます拡大していくものと考えられます。

ただ一方で、「ESGといっても自分には縁遠い世界で…」と考える方も少なくないようです。そこで今日は「ESG」について、身近な「チョコレート」をテーマにして少し考えてみたいと思います。

チョコレート生産が抱える社会問題

まず、チョコレートの原料であるカカオ豆は、一体どこで生産されているのでしょうか。

国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界第1位がコートジボワールで、以下ガーナ、インドネシアと続いており、アフリカや南米諸国等、いわゆる新興国がその大半を占めています(2021年)。

世界のカカオ豆の生産量ランキング(2021)

一般にカカオ豆農家は規模が小さく、また経済的にも貧しいことが多いため、子供の労働力に頼らざるを得ないと言われています。そのため、子供は十分な教育を受ける機会を失ったり、過酷な労働環境下での重労働を強いられる結果、健康に重大な影響を及ぼすことも指摘されています。またカカオ豆栽培のための農薬の使用や新たな森林の伐採は、深刻な生態系や環境の破壊を招いています。

このようにカカオ豆は全世界レベルで見ると、先進国ではチョコレートとして華やかな高級ギフトや贅沢品へと姿を変えるわけですが、その一方で生産地である新興国においては、児童労働や環境破壊といった問題を引き起こしているわけです。

環境にやさしいチョコレート?

チョコレート消費国では、そのような現実を変えていくために企業が様々な活動に乗り出しているのですが、皆さんは「世界チョコレート成績表」をご存知でしょうか。この成績表では国際NGO団体を中心に大学や市民団体、コンサルタント会社等が協力し、日本を含む世界50数社の大手チョコレート関連企業の取組方針等について、5段階で総合評価を行なっています。評価項目は、児童労働や森林破壊、農薬管理等といった6つの分野となっていますが、これらはそれぞれE(森林保護等による環境への配慮)、S(労働条件改善等による社会への配慮)、G(情報開示等によるガバナンスの強化)に紐づいていることがわかります。ちなみに総合評価で最上位の「緑」を受賞した企業は、オランダ最大のチョコレートメーカーの一つである「トニーズチョコロンリー」など5社で、日本企業では明治ホールディングスなど3社が第3位の「オレンジ」評価となっているようです。

意外と身近なESG

「ESG」とは一見小難しく、また取っ付きにくいイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実はこのように私たちの身近なところにそのテーマが存在しています。

世の中の様々な出来事や身近なものについて、時には少し深掘りして考えてみることが、意外と「ESG」を理解する近道になるかも知れませんね…。

執筆者プロフィール

南川 久

りそなアセットマネジメント
未来資産形成ラボ 所長:南川 久

国内大手証券会社を経て、1998年大和銀行(現りそな銀行)入社。同年12月の投信窓販開始以来、投信の新商品組成や推進企画等、りそなグループの投信ビジネス戦略の中枢を担う。

2016年4月りそなアセットマネジメント取締役営業推進部長、2021年4月常務執行役員、2021年9月より現職を務める。

資産形成についての様々な情報発信や金融リテラシー向上のための各種教育活動などを通じて、資産形成がごく当たり前に実践される未来を目指し活動を続けている。

趣味は高校野球観戦と名城巡り。座右の銘は「雲外蒼天」。

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