「瑠璃色」という言葉から、皆さんはどのようなことをイメージされるでしょうか。

辞書によれば「宝石の瑠璃（英名はラピスラズリ）を思わせるような紫みを帯びた濃い青」とされています。ラピスラズリはアフガニスタンで産出され、シルクロードを通じて日本に伝わりましたが、この宝石にちなんだ「瑠璃色」は、古代から至上の色として神聖視され、奈良時代に建てられた正倉院にはラピスラズリがはめこまれた宝物が残されているほか、さらに古い高松塚古墳の壁画にもラピスラズリの顔料が使われているそうです。

30年以上前からある「ESGテーマソング」？

私がこの「瑠璃色」から連想するのは、何といっても「瑠璃色の地球」という歌です。この歌は、今から37年前に発表された松田聖子さんの楽曲ですが、その後中森明菜さん始め多くのシンガーによってカバーされています。また1995年と1999年には高等学校の音楽教科書に掲載されるなど、合唱用の楽曲として教育現場でも広く歌われていたこともありますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

いま改めてこの曲を聴いてみると、「ESGテーマソング」と言っても過言ではないくらいに、歌詞の中に様々なキーワードが散りばめられていることに気が付きます。

ESG投資の歴史

そもそも「ESG」を考慮した投資の起源は、1920年代に当時の米国キリスト教協会などが宗教上の理由でタバコやアルコール、ギャンブル等の産業への投資を禁止したことが始まりだと言われていますが、その後世界の経済が大きく発展していく一方で、気候変動問題などの環境的問題やサプライチェーンにおける労働問題などの社会的問題、また企業の不祥事など企業統治の問題が浮上してきたことで、「ESG」の考え方が徐々に広がりを見せていきます。2006年に国連が機関投資家に対して「ESG」を投資プロセスに組み入れる「責任投資原則」（PRI: Principles for Responsible Investment）を提唱したことで「ESG」はいよいよ世界的にその認知度を高めていくことになるのですが、日本においては2014年に金融庁が「責任ある機関投資家の諸原則」（日本版スチュワードシップ・コード）を発表し、その翌年に今では世界有数の年金資金運用機関となっているGPIF（年金積立金管理運用独立行政法人）がPRI署名をしたことをきっかけに、機関投資家を中心として飛躍的に「ESG」投資が拡大し、現在に至っています。

「瑠璃色の地球」に込められたメッセージ

このような「ESG」の歴史的な変遷の中で、1986年当時、作詞者である松本隆さんは、深刻化する地球の環境破壊や民族紛争などにいち早く警鐘を鳴らすメッセージソングの意味合いもあって、この詞を作られたのではないか…と今になって私は考えています。

「ガラスの海の向こうには　広がりゆく銀河　地球と言う名の船の　だれもが旅人
ひとつしかない　わたし達の星を守りたい　朝日が水平線から　光の矢を放ち
二人を包んでゆくの　瑠璃色の地球」

～「瑠璃色の地球」（作詞：松本隆）より～

もしまだ「瑠璃色の地球」を聴かれたことのない方は、是非一度聴いてみて下さい。
また既に聴かれたことのある方も、改めてこの名曲にもう一度耳を傾けてみて下さい。「ESG」に思いをはせながら…。

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