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Invest for a Brighter Future

「画期的」とも言える1998年12月の銀行投信窓販解禁から、早いもので23年半が過ぎた。この約「四半世紀」における銀行窓販残高シェアを振り返ると、2009年2月末に53%と半分を超えたものの、足元では23%(2022年3月末、出所:投資信託協会)に留まっている。また家計金融資産は21年末時点で初めて2000兆円の大台に乗せたが、資産別残高を見ると投信シェアは4%台と、米国の13%と比較すれば3分の1程度の水準だ。果たして投信は我が国において根付いてきているのであろうか。

「ゴールベースアプローチ」という言葉が日本でわれ始めて久しい。資産運用を考える際に必要な事は、まず自分自身の運用の「ゴール」と「想定タイム」を設定する事だ。例えば「走る」という陸上競技を考えて欲しい。同じ「走る」といっても、短距離の100メートルと長距離のマラソンとでは走り方もトレーニング方法も全く違うはずだ。また同じマラソンでも、世界のトップアスリートは2時間を、初マラソンにチャレンジするランナーは5時間での完走を目指す。資産運用も実はこれと全く同じ理屈であると私は考えているのだが、現実はどうだろうか。

誤解を恐れずに言えば、「最近このトレーニング方法流行っているので、あなたもこの方法で練習した方がいいですよ!」とばかりに、どの顧客に対しても同じような商品を同じように勧め続けてはこなかっただろうか。結果、100メートルを走ろうとする顧客には良かったかもしれないが、マラソンを走り始めたばかりの顧客には、もっと他に勧めるべき練習方法があったのではないだろうか。

翻って、我々資産運用会社の果たすべき役割を改めて考えてみたとき、近年その存在意義が大きくクローズアップされてきたと感じるのは筆者だけではないだろう。即ち、日本投資顧問業協会及び投資信託協会で採択され、2020年11月に公表された「資産運用業宣言2020」に示されている通り、「資産運用会社の使命は、皆さまの安定的な資産形成に向けて最善を尽くすとともに、そのため投資活動を通じて社会課題の解決を図り、皆さまの豊かな暮らしと持続可能な社会の実現に貢献すること」こそが求められているわけだ。

弊社は、資産形成全般に関する社内研究所として21年1月に「未来資産形成ラボ」を設立した。運用全般に関する知識やゴールベース・ポートフォリオ提案手法を活用した研修等を通じて資産形成に対する理解や適切な手法を広め、資産形成が生活の一部として当たり前に実践される未来の実現と日本全体の家計金融資産の底上げを目指して、微力ながら地道に活動を行っている。

おりしも学習指導要領の改訂で、今年度から高校での本格的な金融経済教育が始まった。金融広報中央委員会調査では、「複利」に関する問題の正解率は全体の約4割、米国の正解率75%の約半分程度だったと聞く。これから資産運用を始めようとする「ランナー」が、「想定時間内に目標ゴールに無事辿り着く」ことが出来るような世の中の実現。この目標に向けまずは日本の金融リテラシーを飛躍的に向上させ、資産運用ビジネス業界に身を置く全ての者が組織の枠組みを超えて「大同団結」して取り組む事こそが、次の「四半世紀」の歴史を動かす大きなチカラになると私は信じてやまない。もちろん合言葉は、「“ 投 資 は 未 来 を 創 る も の, Invest for a Brighter Future”」である。

(格付投資情報センター(R&I)「ファンド情報」382号(2022年6月27日号)寄稿記事)

執筆者プロフィール

南川 久

りそなアセットマネジメント
未来資産形成ラボ 所長:南川 久

国内大手証券会社を経て、1998年大和銀行(現りそな銀行)入社。同年12月の投信窓販開始以来、投信の新商品組成や推進企画等、りそなグループの投信ビジネス戦略の中枢を担う。

2016年4月りそなアセットマネジメント取締役営業推進部長、2021年4月常務執行役員、2021年9月より現職を務める。

資産形成についての様々な情報発信や金融リテラシー向上のための各種教育活動などを通じて、資産形成がごく当たり前に実践される未来を目指し活動を続けている。

趣味は高校野球観戦と名城巡り。座右の銘は「雲外蒼天」。

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