突然ですが、皆さんは「シャレン！」をご存知でしょうか。
「シャレン！」とは「社会連携活動」を意味しており、社会課題や教育・ダイバーシティ・まちづくり・健康・世代間交流等といった共通のテーマに、地域の人・企業や団体・自治体・学校等とＪリーグ・Ｊクラブが連携して取り組んでいる活動のことです。

Jリーグを中心とした豊かなまちづくり

そもそもJリーグは発足当初から、これまでの企業（実業団）スポーツの範疇だったクラブ運営を地域密着型へシフトチェンジすることを目指し、「Jリーグ百年構想」を通してサッカーと他のスポーツとの連携を進めてきました。またJクラブでは、地元での福祉・社会貢献活動にも積極的に取り組み、全国で年間25,000回以上に及ぶホームタウン活動を展開しています。
「シャレン！」は「これまでホームタウン活動で育んだスポーツとしての価値を地域貢献活動により一層活用し、共に未来を創っていこう」という思いから、Jリーグを中心にスポーツだけでなく、様々な地域の課題に対して社会という視点から連携し、豊かなまちづくりに貢献するための取り組みとして運営されています。

ホームページによると、「3者以上の協働者と、共通価値を創る活動を想定しており、これらの社会貢献活動等を通じて、地域社会の持続可能性の確保、関係性の構築と学びの獲得、それぞれのステークホルダーの価値の再発見に繋がるものと考えています。また、Ｊリーグはシャレン！を通じて、SDGsにも貢献しています。」とあり、スローガンは「世界でいちばん地域を愛するプロサッカーリーグになりたい。」と掲げられています。

サッカーの試合と環境問題

具体的には「環境」や「ダイバーシティ（共生社会）」「持続可能な地域づくり」など9つの指標に基づいた様々な取り組みを実践しておられます。
例えばサッカーの試合運営は、環境というテーマでも密接に関わっていますが、以下はJクラブにおける取り組みの一例です。

• ヴァンフォーレ甲府
  2004年からスタジアムで利用する食器を全て再利用。容器を伴う飲食物を購入する際、代金にデポジットを上乗せして支払い、食器を返却するとデポジットが払い戻しされる仕組み。
• 清水エスパルス
  海洋プラスチック問題を考えるきっかけになるイベントをJAMSTEC（海洋研究開発機構）と協働で開催。マイクロプラスチックが人体や魚に及ぼす影響を体感できる。

スタジアムから出た資源の循環・再利用

ちなみに「シャレン！」では、毎年全てのJクラブがエントリーした活動の中から、特に社会に幅広く共有したい活動を表彰するイベントとして「シャレン！アウォーズ」を制定していますが、2023年の「メディア賞」には「カターレ富山」による『選手の汗と情熱がしみこんだ堆肥「芝～レ！」カターレ食農プロジェクト～紅はるか～』が選ばれています。
選考コメントには、「CO2削減という日本が抱える問題に対して、スタジアムから出た資源の循環・再利用からサツマイモ作りという農作業経験、更にはスタジアムでの子供たちによる販売体験、と盛り沢山な循環型展開は、フットボールがある街の強みを活かした取り組みである。クラブ活動につきものの刈芝の再利用という着目点、農業との連携。この活動をベースにさらに事業としての広がり、連携の広がりも期待できる。」とあります。

いかがですか。一般にプロスポーツは娯楽や趣味として日本でも大きな人気を確立している反面、広く社会課題の解決に貢献するといった観点でみれば、まだまだその役割を十分に果たしているとは言えない、言い方を変えればプロスポーツが持つそのポテンシャルとエネルギーは非常に大きなものがあると考えています。私は、この「シャレン！」の取り組みは「ESG」投資に繋がる活動であり、さらに言えばおそらくその先にあるであろう「Well-Being社会」の実現にも通じる素晴らしい活動だと思います。
好きなプロスポーツを応援しながら「ESG」活動を実践してみるのも楽しいですね！

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