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戸田浩司の『サクッと!3分間コラム』第2回

コラム:統合報告書を読んでみよう(戸田FM)

別企業に投資を行う際、買うまではワクワクしたけれど、買った途端、「本当にこの銘柄に投資して正しかったのだろうか?」と不安に駆られることはありませんか?そうした心理の中で、景気変動や業界情報、あるいは企業決算などでネガティブな情報があると、我慢しきれず売りたくなってしまう。こういうことは、私たち運用のプロの世界でも失敗例としてありがちな話です。私自身も長い運用経験の中で過去、何度もそうした苦い失敗をしてきました。そうした経験の中で身にしみて感じることは、株式投資を行うときは、企業を良く知ることが重要である、ということです。企業を良く知っていれば、外部環境変化時にも自信をもって投資を継続することができるからです。

そもそも「企業を良く知る」とはどういうことでしょうか。例えば、今後の株価上昇に繋がりそうな先々の成長材料を集めたり、業績予想を深く分析したりすること、が挙げられます。たしかにそれらは投資をする上で大事ではありますが、それだけでは本質的な理解をするには不十分であると考えています。なぜなら、将来は不確実なものであり予想もしていなかったことが往々にして起きてしまうからです。マクロの条件や、企業が属する業界における変化が起きることで、業績予想の前提条件が変わってしまい、何回も数字の作り直しと投資の再検討をする必要が出てきてしまいます。

企業を良く知るということは、そういった表面的な数字を追うことよりも、その企業が過去からどのような考えをもって経営されてきたのか、今後どうしていこうと考えているのか、経営上の課題やリスクをどう捉えているのか、ESGにどのように向き合ってきたのか、などその企業に対する総合的な理解が重要であると私は考えています。その企業の本質を自分の中で落とし込むことで、日々のノイズに振り回されることなく、企業を信じて投資を継続することができます。

では、どのようにしたら企業のことをよく知ることができるでしょうか。総合的な理解をする上で私がおすすめしたいのが、企業が発行している「統合報告書(統合レポート)」を読むことです。統合報告書とは主要上場企業を中心に発行されているレポートであり、企業が年1回発行してきた業績報告を中心としたアニュアルレポートに、ESGなどの非財務情報を盛り込み、将来の企業価値を高めるために進化したいわば「企業のガイドブック」です。経営理念や経営者メッセージ、財務戦略、事業の詳細などに加え、取締役会の実効性評価や気候変動対応、そして様々な関連データなど、理解を進めるための材料が凝縮されて掲載されています。

「でも、そんな何ページもあるものを読み込む時間ないよ!」という方のために、ここでは統合報告書の中から特にここだけは読んでほしいという項目を2つご紹介します。
まず1つ目が、統合報告書の最初のページに記述されている「企業理念、ビジョン、会社は何のために存在しているのか、会社は何を目指しているのか」です。皆さんが個人として、ここに共感できるかどうかが投資をする上でとても大事です。
2つ目が、「経営者(社長、CEOなど)からのメッセージ」です。経営者は企業をどのように成長させようとしているのか、を読み取り、その企業の将来をイメージしましょう。
この2つの項目を読むだけでも、企業への理解が深まるのではないでしょうか。

統合報告書というと、その角ばった名前から難しそうな印象を受けるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。企業側も、自社のことをよく投資家に理解してもらいたいという思いから、私ども投資家と統合報告書についての意見交換会を行うなどの取り組みをしております。そうしたことから、最近は平易な言葉で綴られたわかりやすい統合報告書が増えています。また、統合報告書を発行する企業も年々増えています。今後数年のうちに、統合報告書が企業分析を行い投資判断する場合の必須のアイテムとなる可能性があると考えています。

後に、りそなアセットマネジメントでは統合報告書を読んで、どう活用しようとしているか、をご紹介しましょう。これまで説明してきましたように企業への理解を深めるということが第一ですが、最近では、もう少し踏み込み、企業と統合報告書の内容の改善のための対話を行っています。特に、経営理念、ESGを意識した価値創造ストーリーなど、期待成長率の向上と資本コストの低下につながるような具体的記述のある報告書となるよう提案しています。

統合報告書をわかりやすい表現で幅広い投資家に読んでもらい企業価値が高まれば、単に株価が上がるだけに留まらず、そうした意識をもった経営を行う企業が投資家だけでなく社会からも共感を持たれ、それが故に企業もますます社会的責任を強く意識した経営を行うようになってくれると私たちは考えています。そして、そのような企業が増えることで、社会の持続性と企業価値向上が両立し、究極的には私たちのパーパスである「将来世代に対しても豊かさ、幸せを提供することができる」と考えています。

まずは、投資している企業や気になる企業のホームページを開いて、「統合報告書」を探してみてください。レポートを見つけて、読み始めることで投資への成功の第一歩を踏み出したと考えてもよいでしょう。

りそなアセットマネジメント株式会社
株式運用部
ファンドマネージャー戸田 浩司

〈当資料に関するご留意事項〉

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