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知っているとちょっと役に立つ! 投資の豆知識 ③ (3)

相場上昇局面で売る前に!「長期投資」が値動きの安定につながる理由

りそなアセットマネジメント株式会社
運用戦略部 プロダクト・マネージャー
谷口 真優

当コラムでは、実際に資産運用をする際に、知っているとちょっと役に立つような、投資に関する用語や資産運用の基礎知識についてお伝えしていきます。

前回のコラム(相場上昇局面で売る前に!過去の値動きから見る「長期投資」の効果)では、成長し続ける資産に「長期投資」を行うことが、タイミングを狙って売買するよりも手間がかからず、かつ良い結果に繋がりやすいということをお伝えしました。

今回は、前回お伝えした長期投資の効果に加えて、長期保有をする方が、リターンが高まりやすくなるもう一つの理由として、「運用資産は長く保有するほど値動きが安定する」ということについてお伝えします。

まず一般的に、投資におけるリスクとは、「値動きの振れ幅」のことを指し、投資においてはローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンが成り立つとされています。つまり、リスクが高ければ高いほど、長期的に期待されるリターンは高くなるものの、短期的にはその期待リターンからは大きくブレる可能性も高いことを意味します。このため、実際にその資産の期待リターン(=その資産の大体の実力)に近づくためには、長期的に運用することが必要となります。

具体的に見ていきたいと思います。
最初にリスクの比較的低い資産である国内債券のリターンを見てみます。左グラフは3年ずつ運用したときのリターン、右グラフは10年ずつ運用したときのリターンを示しています。

例えば左のグラフでは1番左端の棒グラフは2003年3月~2006年3月までの3年間の年率リターン、一番右側は2018年3月~2021年3月までの3年間の年率リターンを表し、右のグラフの1番左端の棒グラフは2003年3月~2013年3月の10年間、右端は2011年3月~2021年3月の10年間の年率リターンとなっています。

国内債券は比較的リスクが低く、値動きの幅は大きくないですが、赤丸で示しているように3年ほどの運用だと期間によってはマイナスになってしまうこともあります。一方右のように10年間長期で運用を行うと、どの期間をとってもプラスとなり期間ごとのリターンの差も小さくなっているため、安定したリターンとなっています。

次に、国内債券よりもリスクが高い先進国株式について見ていきたいと思います。

先進国株式のグラフでは3年間の運用のリターンを示したグラフを見ると、切り取った期間によっては-20%近くまで価格が下落している場合や、逆に+30%以上のリターンを出している年もあるなど、当然ながら値動きが大きくなっています。
一方、右のグラフで10年間運用をした場合をみるとどの期間をとってもリターンがプラスになっており、国内債券ほどではありませんが、3年間で運用するよりも安定的なリターンが期待できることがわかるかと思います。

このようにリスクが高いものは期待されるリターンに近づくまでに時間がかかりますが、逆に言えば長期で運用すればするほど、資産のリターンは安定していき真の実力に近づいていきます。

今回は、全部で3回に分けて資産形成において大切といわれる「長期・分散・積立」のうちの長期投資についてお話ししてきました。
株式相場が上昇してくると「利益を確定して売却したい」と考える方も多いと思いますが、実際には長期で持ち続けることの効果が高いことをお分かりいただけたと思います。
長期で運用すればその資産に期待されるリターンに近づいていき、安定的なリターンが期待できます。そして、成長資産に投資をする場合、短期的に売買するよりも、長く持つほどリターンを高める結果につながりやすくなります。

また、これは逆に言うと資産が真の実力に近づくには相応の期間が必要であるということでもあります。
まずは自分が運用できる期間がどの位か把握し、資産が期待リターンに到達できる十分な運用期間をとれるかどうかがを考えたうえで、できる限り長期的な運用を考えることが着実に資産形成をする上で非常に大切です!

次回は、「長期・分散・積立」の2つ目、分散の重要性についてお伝えできればと思います。