金融経済教育レポート Vol.6
高津高校で出張授業を実施
2025年11月28日
未来資産形成ラボでは、2025年8月28日、9月2日の2回にわたり大阪府立高津高等学校(以下、「高津高校」)の高校2年生、公共の授業選択者34名に向けて出張授業を実施しました。
公共という広い科目の中で、金融に絞って深く講義を行った今回の授業は生徒たちにとって理解が深まる経験だったのではないでしょうか。
今回、出張授業を行うにあたり公共のご担当である吉光先生と打ち合わせをしました。その中で、「企業の資金調達方法には、株式発行と社債発行があります。株式は返済義務がないため、企業にとって負担が少ないように思えますが、それにもかかわらず、企業が社債を利用して資金調達を行う理由は何でしょうか?」という質問をいただきました。資金調達方法の分類は入試の定番事項にも関わらず、この質問に答える内容は教科書や資料集などには記載されていないことが多いようです。そういった教科書外の疑問を解消することも、私たち未来資産形成ラボの出張授業の特徴の一つです。
また、吉光先生に生徒たちから事前に金融に関する質問を取りまとめて頂きました。その中には「NISAで100万円投資したら、何年後くらいに1億円になりますか?」、「外国への投資に税金はかかりますか?」など多くの率直な疑問、質問がありました。
本レポートでは、好奇心溢れる高津高校の生徒たちの授業での様子やその反応をご紹介します。
出張授業の内容
1日目の授業内容
- 投資のイメージについて
- 間接金融と直接金融について
- 株式、株式会社、債券、投資信託とは
- リスクリターン、分散投資について
- 投資が社会にもたらす効果について
1日目は、まず初めに投資のイメージについて考えてもらった後、直接金融と間接金融をはじめとする「金融」の深堀をした内容の講義を中心に行いました。冒頭でご紹介した吉光先生の株式と社債による資金調達のご質問については、「株式発行と比べると、社債発行では資金調達に伴う株主構成の変化が無く、経営権への影響が生じません。そのため現在の経営体制を維持した状態で資金調達を行いたい企業にとって有効です。」といった旨を伝えました。生徒の疑問も解消されたのではないかと思います。 授業後のアンケートでは、「1つのもので大きな利益を得るためにはリスクを冒さないといけないが、様々なもので少しずつ利益を得ることでリスクを減らせることが分かった。ありがとうございました。」との感想もあり、分散投資など授業内容をしっかりと消化することで 生徒にとって理解の深まる授業になったと思います。
2日目の授業内容
- 企業の投資先の決定分析ワーク

2日目は、前回出張授業を行った三国丘高校と同様、飲食業界2社の企業分析を行うグループワークを行いました。定量的な財務情報と、定性的な企業理念やブランド等を調べて2社を比較し、投資先企業を選んでもらいました。最終的には、9グループのうち3グループがA社、6グループがB社を選びました。
選んだ理由としては、「貧困、飢餓に関するSDGsの取り組みをしている企業であり、そういった持続可能性がある企業に投資したいからA社」、「1つの事業のみに集中しており、その事業が注目されなくなった場合、会社全体の業績も低下する可能性があるため、ハイリスク・ハイリターンではある。しかし、自己資本比率が高く十分に安全性が高いためB社に投資をしたい」といった意見が挙がり、SDGsを踏まえた観点や、定量面と定性面の両面を考慮したレベルの高い議論が交わされました。グループワークを通じて、投資判断に必要な視点や考え方を体験してもらえたと思います。
生徒たちからの声
2回にわたる授業の後、アンケートを実施しました。以下の結果から好評だったようです。

「いつか投資をしてみたいと昔から思っていたので、今回の講座はとても興味深くて面白かった。将来の進路として経済系も選択肢に入るかもしれない。」という感想もいただき、生徒たちが将来の進路を考えるきっかけになったことを嬉しく思います。今回の出張授業の機会を作ってくださった高津高校の吉光先生を始め、学校関係者の皆さまには改めて心より感謝申し上げます。また高津高校の生徒の皆さんとお会いできる日を、未来資産形成ラボ一同楽しみにしています。