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相場上昇局面で売る前に!資産形成において大切な「長期投資」について

りそなアセットマネジメント株式会社
未来資産形成ラボ プロダクト・マネージャー
谷口 真優

当コラムでは、実際に資産運用をする際に、知っているとちょっと役に立つような、投資に関する用語や資産運用の基礎知識についてお伝えしていきます。

第3回となる今回は、資産形成における「長期投資」についてお伝えしていきます。

「投資の基本は長期・分散・積立」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。そこで今回はその大切といわれる3つの要素の一つである長期投資がなぜ大切かということについて見ていきたいと思います。

長期投資とは?

長期投資とは、短期間で売買を行わず、長期間(数年~数十年)同じ金融商品を保有し続ける投資のことです。投資期間が長いほど収益が安定しやすい傾向にあり、投資をする際の鉄則として覚えておきたい言葉です。

「安いときに買って高いときに売る」は難しい

前回の第2回のコラムでは、相場下落時に想定外に自分の資産が値下がりすると、動揺して損切りしてしまいやすいということをお伝えしましたが、逆に相場が上昇してくると今度は「今すぐ利益を確定したい!」と思ってしまうのが人間の自然な心理です。

実際にマーケットの動きと投資信託の解約額を重ねたグラフを見てみたいと思います。

日経平均株価の推移と投資信託の解約額

※投資信託協会統計データ、Bloombergデータを元にりそなアセットマネジメントが作成

丸で囲んだ部分を見ていただくと、株価の上昇局面で投資信託を解約する人が増えていくことがわかります。

「安いときに買って高いときに売る」ということはよく言われるため、上昇しているときに売る分にはいいのではないかと思う方もいるかもしれません。

確かにここで仮にうまく高値圏で株を売った人が、下落場面で再び購入して…という行動を的確に繰り返せるのであれば良いのですが、そんなにこまめに値動きを見ていられない人も多いでしょうし、何より的確にタイミングを当てにいくというのは簡単なことではありません。
むしろ、逆に人は投資の判断をするときに、合理的な判断ではなく、その時の感情に左右された判断をしてしまいやすいということがよく言われています。

そこで今度は、日経平均株価と投資信託への資金流出入を重ねたグラフで見てみたいと思います。

日経平均株価推移と投資信託への流出入額

※投資信託協会統計データ、Bloombergデータを元にりそなアセットマネジメントが作成

青い点線で囲んだように、相場が下落しているところでは、投資信託の資金流出が増え、損切りという形で売却してしまう人が多くなる傾向があります。逆に赤の点線で囲んでいる株価の上昇局面では株が上昇していくにつれて投資信託を購入する人が増えています。

先ほどのグラフを見ると、株価の上昇局面では利益確定のために解約額が伸びることも事実である一方、こちらのグラフでは、価格が高いところで購入してしまう人も多いことがわかります。

「安いときに買って高いときに売る」ということはよく言われますが、タイミングを当ててそれを実行するのは非常に難しく、じっくり着実に資産を増やしていきたい場合にこまめに売買する投資方法はあまり適切ではないかもしれません。

では、長期に保有し続けた場合はどうなるか、長期で運用し続けるとどんな良いことがあるのか?と思われる方も多いかと思いますので、長期投資の具体的な効果については次回コラム「相場上昇局面で売る前に!過去の値動きから見る「長期投資」の効果」でお伝えしたいと思います。