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相場上昇局面で売る前に!過去の値動きから見る「長期投資」の効果

りそなアセットマネジメント株式会社
未来資産形成ラボ プロダクト・マネージャー
谷口 真優

当コラムでは、実際に資産運用をする際に、知っているとちょっと役に立つような、投資に関する用語や資産運用の基礎知識についてお伝えしていきます。

前回のコラム(相場上昇局面で売る前に!資産形成において大切な「長期投資」について)では、短期で売買して資産を増やすことは難しく、着実な資産形成には長期運用が大切であるということをお伝えしました。

今回は、実際に途中で資産を売買せずに長期保有するとどうなるのか、長期保有の具体的な効果について見ていきたいと思います。

長期投資で得られる効果とは?

先進国株式のパフォーマンスと投資信託の解約額

※投資信託協会統計データ、Bloombergのデータをもとにりそなアセットマネジメントが作成
※先進国株式:MSCI-KOKUSAI(配当込み、円換算ベース)の数値を使用

図の折れ線グラフでは、先進国株式に2005年10月時点で100万円を投資した場合のパフォーマンスを示しています。棒グラフは投資信託の資金解約額を示しています。実際に株価上昇局面において解約額が増加している時点で利益確定をしていた場合と、ずっと持ち続けた場合を見てみます。

まず、2013年5月は、2008年のリーマンショックから5年が経ち、ようやく株価がリーマンショック前の高値を回復した頃となりますが、この頃から投資信託の解約額が大幅に増加していることが分かります。(このような現象は、俗に「やれやれの売り」と言われます。)
投資した100万円は約136万円になっており、ここで利益を確定させれば、約36万円のプラスになります。
さらに、その後も株価は上昇を続け、2015年1月頃にも投資信託の解約額が増加しています。先ほどの2013年に利益確定をせずに持ち続けた場合、2015年1月には投資した金額が100万円から約189万円となり、ここで利益確定をすると約89万円の利益となります。このように、手に入りそうな利益が見えると、利益確定をしたくなってしまうのが人間の心理です。

しかし、途中で売却せず、2021年3月現在まで運用を続けていた場合はどうでしょうか?結果として今回のシミュレーションの場合、15年間先進国株式を運用し続けると、資産額は3倍以上の約351万円になりました。

長く資産を持ち続けていれば、当然2016年6月時点のように途中の相場下落で資産が減ったり、場合によっては損失が出たりすることもありますが、成長していく資産であるかぎり、株価はいずれ回復していくことが多いため、結果的に長期で運用し続けている方が大きなリターンを得られていたことがわかります。
相場が上昇してきたところで、株などの資産を売るということも選択肢の一つですが、その後も株価が上昇を続けた場合、投資を再開するタイミングを見失ってしまい、その後のリターンを得ることが出来なかった、ということもよくあります。
また長期的に投資を行うことで複利効果を高めることも期待できます。「複利効果」とは、元本に運用で得た利益を当初の元本にプラスして再び投資することで、利益がさらに利益を生んで膨らんでいく効果のことです。運用の利益を元本に含めて運用を行うことで利息部分にも利息がつくため、運用期間が長ければ長いほどその効果が高まります。
運用できる期間がまだ長く残っている場合は、短期的な利益を得ようとタイミングを見て売ってしまうよりも、運用を継続し長期的な成長を取り込み続ける方が、より簡単に行うことができ、かつより良い結果に繋がることが多い方法といえるでしょう。

このように実際に過去の事例を見ると長期保有の効果がわかっていただけたかと思いますが、実はもう一つ長期投資を行うことでリターンが高まりやすくなる理由があります。そこで次回コラム「相場上昇局面で売る前に!「長期投資」が値動きの安定につながる理由」では資産のリスクリターンと運用期間の関係から長期投資の効果をお伝えして、長期投資の重要性についてまとめたいと思います。