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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第2回 ウクライナ情勢の暮らしへの影響

ロシアとウクライナの戦争はワタシの暮らしにも影響があるのでしょうか?

今後の展開次第だけど大きな影響が出てくる可能性があります。ある程度の準備はしておいた方が良いと思いますよ。

何の準備をすればいいのですか?

ロシアと経済的なつながりの強い欧州や敵対関係にある米国では、サイバーテロで電気や水道が止まった時に備えて飲料水や懐中電灯、穀物価格の高騰に備えた食料の備蓄をする人が増えています。

平和な日本でそこまでする必要はあるのですか?

日本も悪影響は免れ得ないと思います。今年の冬はロシアから日本への輸出の多いイクラ、カニ、タラコなど北海の海産物は輸入が途絶するかもしれませんよ。

どうしてそうなるのか、もっと知りたくなりました。

戦争の余波でロシアとウクライナから日本を含む世界各国への輸出が急減少、あるいは場合によっては途絶することが懸念されています。攻撃を受けるウクライナは通常の商取引などできる状況にはありません。ロシアは国際法違反の軍事攻撃をしたとして、日本をはじめ世界各国から経済制裁を受けています。経済制裁は、簡略化して一言で言うと、軍資金を断つための兵糧攻めで貿易取引を断つということです。

ロシアは原油は世界3位、天然ガスは1位の生産量を持つエネルギー大国です。他にも半導体生産に不可欠なネオンガスやアルミなどでも高いシェアを持っています。ウクライナは肥沃(ひよく)な大地で小麦、トウモロコシの大生産地です。これらの輸出が戦争の余波で止まることが懸念され、市況が急騰し始めているのです。

小麦を主食とする国は中東や欧州に多く、価格高騰が家計を直撃します。これらの地域ではエネルギー価格は既に大きく上がってますが、さらなる上昇が必至の情勢です。国によっては政権の存亡に関わるほどの危機的な状況になることも懸念されています。

平和な日本であっても、生活防衛のための準備はしておいた方が良いかもしれませんね。

(埼玉新聞 2022年4月25日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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