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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第5回 日本は円安なの円高なの?

今年のゴーデンウィークは、観光地がたくさんの人でにぎわったようですね。

コロナ禍以降で初めて移動に大きな制約がなかったからね。9連休を取った人も多かったそうだよ。久しぶりに海外旅行も復活したしね。

海外旅行なんて、うらやましいです。

ただ、今年の海外旅行では円安のデメリットを感じた人が多かったみたいだね。

どういうことですか?

肌感覚では現地の物価がコロナ禍前の1.5~2倍に上がったようだよ。例えば、カップ麺が500円、家族4人でマクドナルドでランチしたら6千円を超えた、遊園地の入園料が日本と同じ感覚で8千円ぐらいかと思ったら2万円だった、などかな。

ええ?それは、だまされたのではないですか?

そんなことはないんだ。海外は日本よりインフレが進んでいる。さらに、円安なのでダブルパンチで値上がりしている。

かつて内外価格差と言えば、日本の物価は高く海外は安い、を意味しました。しかし、昨今は全く逆の意味になっています。日本は長くデフレが続いた一方、海外ではインフレが続きました。また、対ドルの円相場は、2010年ごろは平均して80円前後でしたが、最近は120~130円です。この結果、日本の物価は安く、海外は高くなって逆転したのです。少しずつの漸進的な変化ならあまり気に留めなかったかもしれません。しかし、今年の海外旅行は19年以降で初めてということで約3年ぶりです。人々は3年間を累計したこの大きな変化に改めて気づいたのです。

この変化を逆から見るとどう見えるでしょうか。外国人から見ると、日本旅行は格安なのです。かつて円高の時代に日本から東南アジアに旅行に行くと、物価が日本の1/2~1/3という例がありました。さすがにここまでの安値ではありませんが、日本は外国人から見て物価の安い国なのです。

ただ、今はまだコロナ禍で日本は少しずつ解除されているとはいえ、外国人旅行客の入国は制限されています。従って、格安の日本旅行に外国人が殺到する事態にはなっていません。しかし、コロナ禍が明けたら、日本旅行はブームになるほど人気になるとみられています。

そこで想定されるのがホテル不足です。個人が余った部屋を貸し出す民泊は、海外では非常に人気です。日本の郊外や田舎の普通の庶民の生活を経験してみたいという外国人が実は多いのです。民泊で余った部屋を貸して稼ぐ上に、外国人の若者と文化交流できるなんてすてきだと思います。

(埼玉新聞 2022年6月14日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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