1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
最近、ワタシの大好きなたい焼きが値上がりして困っています。
材料の小麦、小豆、砂糖、燃料費、全てが値上がりしているからね。また、輸入も多いから円安でより大きく値上がりしている。
何かいい対策はないですか?
商品投資するのは一つの手だね。ドル建ての商品に投資をするんだ。値上がりや円安で利益が出る。かつて小豆は「赤いダイヤ」と呼ばれ、投資ブームが起きたことがある。商品指数なら投資信託もあり、金融機関で販売されているよ。
でも投資は自信がありません。他にいい方法はないですか?
自分への投資だね。米国の投資の教科書では、投資対象として最も重要なのは、株式でも債券でもなく、自分への投資だと最初に教えている。時代とともに陳腐化しないよう最新のスキルを身に着けることだね。
これからも安心してたい焼きを買うためには、自分への投資が不可欠なんですね。
毎年4月末頃に米国人投資家で有名なウォーレン・バフェットは、自身が会長を務める投資会社バークシャー・ハサウェイの株主総会で、投資について長い演説を行います。株式投資家というと、ギャンブラーであるかのような印象を持つ人がいるかもしれません。バフェットは全くそんなことはありません。投資家として企業の本質的な価値を見定める能力があるということは、企業経営を取り仕切る能力があることも意味します。現にバフェットは、投資した企業が経営危機に陥った際、大株主であることの責任を取って社長を務めたことがあるのです。日本ではよく責任を取って社長が辞めることがあります。その全く逆で、大手証券会社だったソロモン・ブラザーズなどの経営を立て直して社長を退いたことがあります。バフェットは世界有数の富豪で「投資の神様」とも呼ばれます。
今年のバフェットは、インフレへの対応策を問われ、「自分自身を高めることが最高の投資だ」と述べました。インフレになると物の価値は上がってお金の価値は下がります。しかし、仕事のスキルは減りません。そこで、何かに秀でたスキルを身に着けることが最高のインフレ対策になると述べたのです。
バフェットの言葉の重みは、自分への投資を自ら実践し、結果を出し続けた点にあります。バフェットは91歳です。これまで何度も、もう老人には新しい時代のことは分からない、などと陰口をたたかれました。しかし、2000年以降のITバブル崩壊やリーマン・ショックでも結果を出し続けました。
自分への投資、ぜひ実践したいものですね。
(埼玉新聞 2022年6月27日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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