1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
今年もメジャーリーグで日本人選手が活躍していてうれしいですね。
大谷選手、ダルビッシュ投手、菊池投手と大活躍だね。シカゴ・カブスに100億円の大型契約で加入した鈴木選手も話題になり活躍しているよね。
メジャーリーガーは何で給料が高いのですか?
日本のプロ野球は主に日本人しか見ない。でもメジャーリーグは、日本でもテレビ放映されているように、日本、カナダ、メキシコ、中南米などでも見られているから、顧客数という意味で市場が大きいんだ。
市場が大きいとなぜ給料が高くなるのですか?
同じ放映料や球場の入場料でも顧客数が多いと球団の売り上げが大きくなる。この差が選手の給料の差にもなるんだ。
そうなんですね。だから、欧州のサッカー選手も給料が高いんですね。
その通り。あと、円安が進んでいることも影響しているね。ドルを円で換算したときに金額が大きくなるんだ。
米メディアの報道によると、3月に発表されたカブスの鈴木選手の契約金額は、5年で8500万ドルでした。これを当時の今より少し円高の為替レート、1ドル116円で換算すると100億円になります。一方、イチロー選手が活躍した2010年頃の円相場は1ドル75~85円でした。平均的に80円と仮定すると、仮に同じ8500万ドルの契約だったとしても、68億円となります。これは鈴木選手より30%以上も低い金額です。ドル建ての契約金額が同じでも、円安が進んだことによって、円換算するだけでこれほど大きな差が出るのです。最近の円安が大きな影響を与えていることが分かります。
この差は今年の日本のプロ野球にも影響を与えています。日本のプロ野球球団が助っ人を探しに米国に行くとしましょう。条件交渉において、ドル建ての年棒を円に換算します。同じ100万ドルの選手でも、イチロー選手の時代なら8千万円ですが、最近なら1億3700万円になります。今シーズン日本に来た助っ人で三冠王が狙える、あるいは最多勝が取れそうなスゴイ助っ人が少ないのは、こうした事情も関係しているのかもしれません。
鈴木選手が受け取ったドルを円に両替したかどうかは分かりません。もし、ドルのまま保有していたら、最近の円/ドル相場137円で換算すると約116億円になります。円安のおかげで16億円もの為替差益が出る計算になります。
為替差益を狙うことは、外貨預金を利用すれば、日本にいる日本人でも可能です。ただし、リスクもあります。逆に円高になれば為替差損が出るのです。為替相場の予測が大事ということです。
(埼玉新聞 2022年7月20日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
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