1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
最近ニュースで「利上げ」という言葉をよく聞きますが、「利上げ」ってなんですか?
世の中には金利が存在する。長期や短期などいろいろとある金利の中でも基礎となる政策金利の水準を決めるのが中央銀行で、その金利を引き上げることを利上げと呼ぶんだ。
そもそも金利って何ですか?
全てのモノやコトには値段がある。金利はお金の貸し借りの値段で、預金金利、住宅ローンや自動車ローンの貸出金利などがあるね。
ワタシにはあまり関係ないかもしれません…。
そう見えて実は普通の人々の生活に大きな影響を与えているんだ。株式や債券に投資をする人にとっては、値動きへの影響という意味で大いに利害関係があるよ。
利上げや金利について知ると、何か良いことがありますか?
なぜ好況や不況が起こるのか、なぜ金利や株価が動くのか、などの背景の理由が見えてくると思うよ。
今年に入り世界中の多くの中央銀行が利上げを実施しました。特に米国では中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が6月と7月には0.75%と大幅な利上げを実施しました。通例なら利上げ幅は0.25%です。相当に急いでパニック的な利上げが実施されているのです。
この影響は大きく、米国で長期金利が急上昇して株価が急落しました。他にもビットコインなど暗号資産も大きく値下がりしました。この世界的な余波は大きく、日本でも長期金利は若干の上昇、株価は急落しました。
FRBが急激でパニック的な利上げに追い込まれた原因は、物価の上昇、別名インフレが高進したからです。言い換えると、FRBはインフレを抑制することを目的に、ショック療法のような形で利上げを加速させたのです。
利上げにより金利が上がると、たとえばローンでお金を借りて住宅や自動車を買うときに支払い利息が増えて不利になります。つまり、利上げにより消費は減少するのです。例えば、米国の変動型の住宅ローン金利は、1年前と比較すると約3%も上がったのです。3千万円の住宅ローンを想定すると、支払利息が90万円も増加します。支払利息が増える分は節約する必要が生じるので、消費が減少してインフレ圧力も低減するのです。これを、商売をするお店の立場から見ると、売り上げが減って利益が減少するのです。こうして不況の影が見え始めたことから株価が下落しているのです。
このように世界的には利上げが加速しています。しかし、日本では利上げはまだ相当先になると見込まれています。
(埼玉新聞 2022年8月1日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
〈当資料に関するご留意事項〉