1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
9月に入ってやっと少し涼しくなりましたが、暑さの原因は地球温暖化なのですか?
一般的にはそう考えられているよね。
ワタシは寒がりなので、暑さだけならまだ、大丈夫ですが、地球温暖化の影響は他にはないのでしょうか?
水不足、集中豪雨や水害、熱波による山火事など災害の原因にもなっているよ。
地球温暖化がいろいろな災害に影響を与えているのですね。
自然災害による損害は間接的に景気にも悪影響を与えるよ。半導体生産には大量の工業用水を使うんだ。今起きている半導体不足の一因は昨年に台湾で起きた干ばつによる水不足で今に続くインフレの一因にもなっているよ。
ワタシたちの生活や景気にまで悪影響が出ているんですね。
近年は毎年のように異常気象が発生します。毎年となれば異常ではなく普通です。そこで異常気象は極端現象と呼ばれるようになっています。
極端現象の原因は地球温暖化だとみられています。温暖化により水分が蒸発して大気中の含水量が増加します。そうすると地表では水不足となり熱波や山火事が発生しやすくなります。一方、雨量が増加するので集中豪雨、洪水、山崩れが発生しやすくなるのです。
気候変動が景気に及ぼす影響も大きくなっています。かつて猛暑は景気にプラスと考えられていました。エアコン、清涼飲料水、プールや海水浴などレジャーの消費が増加するからです。しかし、近年の極端現象は、直接的な災害だけでなく、間接的にも工業面で障害をもたらすようになっています。
特に重要なのは生産への影響です。工業用水の不足、資材や製品の河川舟運の停滞、電力不足で工業生産が停滞する事例が世界中で起きています。また、高温で道路のアスファルトが溶ける、コンクリートが膨張して内部破裂する、など産業インフラへの被害も出ています。
環境保護が世界的な問題となったのは戦後2回目です。1970年代には公害が問題となりました。当時の日本企業は、公害を技術革新で克服して産業発展に結び付けました。厳しい排気ガス規制を世界で初めてクリアしたホンダのCVCCエンジンは、日本の自動車産業が世界に飛躍する契機となりました。ステレオからミニコンポなど重厚長大から軽薄短小へのシフトに成功した日本の家電産業は、世界に飛躍しました。今こそ当時の成功体験を思い起こし、脱炭素など地球温暖化対策が、日本の産業が輝きを取り戻すきっかけになってほしいものですね。
(埼玉新聞 2022年9月25日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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