1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
最近、米国株価が下がっているようですが、どんな会社の株価が下がっているのでしょうか。
伝統的な製造業や小売業より新興のネット企業が大きく下がっているよ。
コロナ禍の収束と関係があるのですか?
これが大いにあるんだよ。
コロナ禍が収まり経済活動が再開することは、景気や株価に良いんじゃないですか。
総論としてはその通り。ただ、個別には全く逆で、追い風が逆風に変わった企業も多いんだ。
日本も同じような状況なのでしょうか。
そうなんだ。
2020年から広がったコロナ禍は未知のウイルスとして恐れられました。ただ産業としては、デジタル化を推し進めるプラス面もあると期待されました。確かに、在宅勤務、遠隔会議、遠隔授業、などの技術はコロナ禍の前からほぼ確立されていました。しかし、出勤や登校で顔を合わせるのが当たり前の世の中では、わざわざオンラインに移行する理由がありませんでした。しかし、コロナ禍がきっかけとなって一気に移行が進みました。今では在宅勤務や遠隔授業は当たり前のものとなっています。
日本では脱はんこも話題になりました。コロナ禍で外出が制限される中、押印のためだけに出勤する人が多くいたからです。押印痛勤という言葉まで生まれました。政府は脱はんこを政策的に推し進めました。
そして今、経済再開が本格化し始めたことから、社会の風潮がコロナ禍の前に戻りつつあります。在宅勤務や遠隔授業などコロナ禍で普及した新しい慣行は、このまま社会に定着するのか、あるいはコロナ禍の前に逆戻りするのか、運命の分かれ目にあると思います。
株式市場では、コロナ禍の前に戻ることで経営が悪化する企業の選別が始まっています。例えば、出前やオンラインフィットネスです。経済再開とともに出前需要は減速し、フィットネスはオンラインから伝統的なジムに通う方式に戻りつつあるのです。一部には、急激な業容拡大の後に起きた客離れで、経営危機に陥る企業も出始めています。この状況が米国で巣ごもりバブル崩壊と呼ばれているのです。産業の栄枯盛衰は世の常です。コロナ禍とその収束は、極端な形でそれが顕在化することになったのです。また、この傾向は日本も含め世界共通です。
ただ、悪い話ばかりではありません。コロナ対応の画期的なワクチンは、がんなど他の病気への応用が始まっています。医療界に革新を起こすと期待されています。
(埼玉新聞 2022年10月24日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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