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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第16回 ガソリン価格予測のススメ

最近ガソリン価格が少し下がっているって聞いたのですが…

年初に1リットル当たり170円を超えた頃がピークで、10月中旬には160円ぐらいまで下がったね。

なぜ下がったのですか。

三つの要因、政府の補助金、ドル建て原油価格の下落、円安ペースの鈍化が効いたと思う。

今後も下がるのでしょうか。

三つの要因次第だね。ただ、さらに値下がりする可能性は低いと思う。

ガソリン価格の予測なんてできるのですか?

多くの経済の専門家はしている。生きた経済の勉強になるし、節約にもなるからね。

ガソリン、灯油、重油は石油を精製して製造されます。石油は1バレルを単位としてドル建てで取引されます。石油価格は2021年秋口にはコロナ禍の悪影響を払拭して元々の価格水準である80ドル前後で推移していました。そして、今年3月にロシア・ウクライナ戦争が始まると120ドル台まで上昇しました。最近は世界的に利上げで景気が悪化するという懸念から80ドル前後まで下落していました。このドル建ての原油価格を円建てに換算すると、国内の石油製品価格とだいたい連動する動きになります。これが平時の価格の決まり方です。

現在は平時ではありません。政府は石油製品価格が高騰した対策として巨額の補助金を出しています。経産省の試算では、もし補助金がなければ9月中旬のガソリン価格は約42円高く200~205円前後だったと試算しています。

今後のガソリン価格はどうなるのでしょうか。三つの要因のうち、補助金は大きくは変わらない見込みです。残る二つの要因うち、10月以降のドル建ての原油価格はやや上昇傾向となっています。石油輸出国機構(OPEC)とロシアが石油価格を下支えするため協調減産を決定したからです。今後の原油価格は90ドル前後で推移すると見込まれています。円相場は日銀が9月と10月に大規模な円買い介入を実施して円安に歯止めがかかっていました。さらに、11月に入り米国で物価高騰に歯止めがかかった統計が発表されると、139円台まで一気に円高が進みました。これら二つの要因から、年末にかけてガソリンや灯油など石油製品価格は、おおむね横ばい圏で推移すると見込まれています。

予測の精度を上げると節約に大いに役立ちます。ただし、予測にリスクは常につきものです。

※掲載紙面の内容に一部修正を加えています。
(埼玉新聞 2022年11月21日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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