秋口以降、マスメディアに再値上げという言葉が頻繁に出てくるようになりました。今年に入り２度目以降の値上げという意味です。値上げされた品目は多く、食品、日用品、衣服、嗜好（しこう）品、ブランド物などほぼ全てです。例外だったコメや卵も値上げが目立ちます。

年末年始を控え、この時期の値上げは庶民にとっては痛手です。そこで期待したくなるのが賃金や年金など所得の上昇です。

毎年1月は4月以降の賃上げを求めて春闘が始まります。近年の政権は財界に3％の賃上げを要請してきました。しかし、現実には平均的に見ると1～2％の賃上げにとどまりました。今年も岸田政権は財界に賃上げを強く要請しています。連合は5％程度を求める方針を示しています。ただ、総じて現実は厳しい（難しい）と思われます。企業も仕入れ値が上がっても売値に転嫁できず、同じように苦しいのです。そもそも、値上げで庶民が余計に払ったおカネはどこに行くのでしょうか。値上げの元の元、エネルギーなら中東など産油国、穀物なら米国や豪州など輸出国に行くのです。他方、円安やエネルギー価格の高騰で恩恵を受け潤った日本企業も少なくありません。上場企業の約25％は史上最高の利益を出しているのです。こうした企業は大幅な賃上げが期待できるかもしれません。

年金の増加額は政府の計算式でほぼ自動的に決まります。こちらも物価の上昇には追い付かない見通しです。

そこで期待したいのが政府の総合経済対策です。来年1月から9月ごろにかけて電気代やガス代の値上げを抑制するため、標準世帯で約4万5千円の補助を実施します。他にも旅行やイベントへの補助金、子育て世帯への補助金があります。

総じて今年は我慢の年末年始になりそうです。値上げには不満でも、何かと入り用な年末年始は、お金では買えない幸福感が得られる時期でもあります。幸福とは何かを見つめ直す良い機会になると良いですね。

※掲載紙面の内容に一部修正を加えています。
（埼玉新聞 2022年12月13日掲載）