1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
干支(えと)に関連する相場格言があると聞きました。
卯(う)年の今年は「跳ねる」とされている。本当に株式相場が跳ねたら投資家は喜ぶだろうね。
それは、当たるのでしょうか。
干支の12通りの統計を取ると、的中率が高いわけではないものの、大外れするわけでもないといったところかな。
去年はどうだったのですか。
寅(とら)年の相場格言は「千里を走る」とされている。株価が大きく上がると期待されたけど、期待外れだったね。
先に干支の12通りの相場格言をご紹介しておきましょう。「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」です。
当たるかどうかはともかく、短い言葉で相場の方向性を実によく言い表しています。下げ相場は、天井、尻下がり、つまずき、です。上げ相場は、笑い、繁栄、千里を走り、そして今年の「卯は跳ねる」です。横ばいは辛抱、固まる、などです。
この相場格言が当たるのなら、投資家はリサーチの苦労が必要ありません。また、相場格言を信じる皆が同じ相場観を持つと、そもそも売買が成り立ちません。大事なのは、相場格言が本当に当たるかどうかより、可能性の一つとして見落としを防ぐことだと思います。
一方、十干十二支の60通りの干支もあります。こちらの干支は戦後の日常生活ではなじみが薄くなりましたが、元々は甲子園球場や壬申の乱の命名の由来になるなど日本文化に深く根付いたものでした。還暦の60歳もこれに由来しています。今年は癸卯(みずのとう)とされており、物事の始まりと終わりを意味します。大胆にまとめると、実は今年は2020年 の「庚子(かのえね)」、21年の 「辛丑(かのとうし)」、22年の 「壬寅(みずのえとら)」と3年連続で続いた衰退と成長により新旧の入れ替わりがほぼ完成する年回りです。しかも、24年の甲辰(きのえたつ)は、成長した芽が姿を整える年回りです。60年前には、戦後復興から高度経済成長期へと移行して日本経済は生まれ変わりました。
私のような金融経済の専門家は、普段は統計解析や確率計算ばかりしています。しかし、年末年始だけは干支や初詣など日本の伝統文化を重んじる人が多いように思います。中でも十干十二支の干支を重視する人は少なくないと思います。
(埼玉新聞 2023年1月16日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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