1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
昨日、ニーサって言葉をたくさん聞いたのですが…。
それは、2月13日がNISAの日だったからだね。
NISAって何ですか。
一言で言うと証券投資に対する税制優遇制度だね。
税制優遇制度ですか???
経済の活性化と国民の資産形成を目的とする制度で、国が推奨しているよ。
そうなのですね。お得そうですが、本当に良い制度なのでしょうか?
NISAは2014年に発足した少額投資非課税制度です。英国の個人貯蓄口座(ISA)を参考としており、Nはニッポンを意味します。NISAを利用すると、投資金額の上限、投資対象の証券、投資期間などの条件を満たすと、配当や値上がり益が非課税となります。逆に言うと、満たさない場合は原則として約20%の源泉分離課税がかかります。証券投資が税制面で優遇されるようになった背景には、貯蓄から投資への流れがあります。
政府は特定の目的を実現するため優遇税制を設けることがままあります。昭和の時代には銀行預金を優遇するマル優がありました。今はもう廃止されており、預金利息には約20%の税金が課されます。しかし、当時はマル優を利用すれば非課税でした。マル優は銀行預金の増加を目的としていました。銀行が預金を原資に企業に設備投資向けなど貸し出しを増加すれば経済活動が活発になるからです。結果的にマル優は高度成長など戦後の経済発展に大いに役立ったと見られています。
しかし、2000年頃から政府は、銀行預金中心の貯蓄から、株式など証券投資へと資金の流れをシフトするよう政策を転換し始めました。NISAはその重要な一歩になりました。そして、昨年11月に岸田政権は「資産所得倍増プラン」を決定しました。この第1の柱がNISAの拡充です。資産から得られる配当や値上がり益の倍増を掲げるぐらいですから、投資金額の上限や投資期間が大きく拡充されました。
NISAには二つの目的があります。一つは、株式市場が活性化することで企業活動が活発化して経済成長率を高めることです。もう一つは、その過程で投資した個人に配当や値上がり益など恩恵が及び、老後に備えることです。この目的に合致するよう金融庁はNISAに適合する金融商品を安全性などの観点で厳しく選別しています。
税制優遇があるとはいえ自分に合うかどうかのチェックは当然必要です。総じて言うと、お得の観点で利用するメリットは大きいと思います。
(埼玉新聞 2023年2月14日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
〈当資料に関するご留意事項〉