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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第23回 リスキリングとは

年が明けてもう2カ月がたちましたね。

少年老い易く学成り難し。ことわざには人生の教訓が詰まっているよね。

ワタシ、ことわざは苦手です…。

スマホが勉強や運動を妨げているという見方はあるよ。

そういえば、最近リスキリングという言葉を聞いたのですが、リスキリングって何ですか?

リスキリングは2020年ごろから使われ始めた新しい言葉です。新しいことを学んで新しい仕事上の技能を身に付け、業務や転職に生かすことを意味します。元々、スキルは技能、リは再度を意味する英語です。リスキリングは英語圏でも同じ20年ごろから使われ始めました。背景にあるのは、人工知能(AI)などIT関連の技術が飛躍的に進歩することで、将来的に人間の仕事が奪われる懸念です。

機械が人間の仕事を奪う例は昔から多くあります。たとえば自動改札機です。昔は人が手作業で切符を回収して運賃が合っているかどうかを瞬時に計算していました。このように機械が人を代替する例がAIの発達で飛躍的に増加したら、人間が失業に追いやられる懸念があるのです。そこで技術革新に負けない技能を人間が身に付けるべき、という考え方がリスキリングです。

話は変わりますが、インフレに対応すべく、政府は民間企業に賃上げを要請しています。ただ、インフレで困っているのは民間企業も同じです。政府は、今年は過去に内部留保を積み上げた民間企業に賃上げのお願いをする一方、来年以降は、リスキリングで稼ぐ力を身に付けた労働者が自らの力で所得を高める姿を暗に想定しています。

この想定は本当にうまくいくのでしょうか。これまでも政府は、生産性革命や働き方改革などさまざまな政策を実施しました。これらの政策は主に企業の取り組みを重視するものでした。しかし、うまく成果が出なかったのが実情です。そこでリスキリングでは、政府が5年間で1兆円もの予算をつけて、労働者自身の取り組みを促す方向に転換しつつあるのです。

スマホも使い方によってはリスキリングを進める力強いツールになり得ます。実にさまざまなアプリがあり、時事ニュースを深堀りする解説、金融のプロによる情報発信、英語の習得、プログラム教育、ビジネス書やベストセラーの解説、無料の大学講義などです。電車の待ち時間などスキマ時間を想定したものもあります。ちりも積もれば山となる。ぜひとも実践したいものですね。

(埼玉新聞 2023年3月14日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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