1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
確定申告の時期が終わったね。
確定申告は大変だと聞いたのですが…。
確かに。でも納税は憲法で定められた国民の義務だからね。
会社員は会社がやってくれるようですね。
そうだね。でも、便利な半面、納税意識が希薄になるとの指摘もある。実は多くの人は天引きされて自分が払った納税額を知らない。しかし、納税意識は高い方がお得な面があるんだ。
お得なら勉強したいです。
毎年2月から3月にかけて確定申告の時期になるとネットに以下のような書き込みが増えます。「確定申告の方法ではなく、平行四辺形の勉強をしておいて良かった。この時期になると、特にこの知識が役に立つ」。もちろん、これは皮肉です。学校では平行四辺形の面積の計算を習います。しかし、こうした知識が実生活で役立つことはほとんどありません。一方、確定申告や年末調整のような実生活で役立つ知識を学校では教えてくれません。
これは広義の金融リテラシーの問題です。金融リテラシーは、おカネに関する実生活で役立つ知識です。金融庁は「最低限身につけるべき知識」として4分野を挙げています。「適切な収支管理を習慣化する家計管理」「ライフプランを明確にして資金を確保する生活設計」「金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の選択」「セミナーなど外部の知見の適切な活用」です。確定申告や年末調整は、税金を天引きされると気付きにくいものの、適切な収支管理に入ります。
一つ例を挙げましょう。12月下旬に年払いの個人年金保険に入り8万円の保険料を払ったと仮定しましょう。この時期ではもう年末調整には間に合いません。しかし、確定申告をすれば税金が還付される可能性があります。しかも計算式は簡単です。単純化すると所得税は4万円に税率を掛けた金額、住民税は2万8千円に住民税率を掛けた金額です。所得税は最低が5%、最高は45%、平均的には約20%です。住民税は約10%です。確定申告すれば最低で4800円、多くて2万800円、平均的には1万800円が戻ってきます。実際には控除の上限や復興所得税もあり計算はもう少し複雑ですので、還付される税金は先ほどの金額から上下します。
多くの人は日常生活で1円や1ポイントに大いにこだわります。一方で自分の納税額を知らなかったり、確定申告すれば万円単位でお金が戻る還付手続きに無関心だったりします。納税意識は高い方がお得でもあるのです。
※掲載紙面の内容に一部修正を加えています。
(埼玉新聞 2023年3月27日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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