1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
4月は入社、入学の季節ですね。
希望にあふれたりりしい若者を見ていると、こっちもうれしくなるよね。
緑の新芽と重なります。
新芽を英語でグリーン・シュートと言うんだけど、幸運をもたらす新たな息吹きというニュアンスがあるんだ。
ワタシにも幸運が舞い込んでくると良いのですが…。
毎年この時期になると配属ガチャが話題となります。配属ガチャは親ガチャを語源としています。ガチャは、お金を入れて回すと事前には分からないフィギュアやカードなどが出てくる販売機です。親ガチャは、子どもは親を選べないことから、どんな親の元に生れるかは運次第という意味です。これと同じように、新入社員が会社に入ってどこでどんな仕事をするかは、配属という運次第という意味です。
配属ガチャは日本特有のものです。諸外国では、どこでどんな仕事をするかは入社前に事前に契約で定めます。分かったうえで契約書にサインするので配属ガチャは、普通はあり得ません。これがジョブ型雇用と呼ばれる形態です。一方、日本の雇用形態はメンバーシップ型雇用と呼ばれ、会社の一員(メンバー)になります。会社のメンバーになった後、どこでどんな仕事をするかは会社からの命令次第ということになります。最近はコース別人事など仕事の範囲をある程度絞り込む例も増加しています。しかし、基本的には日本の雇用形態はメンバーシップ雇用です。
岸田総理はこれまで何度も日本の雇用形態をメンバーシップ型からジョブ型へと移行するよう制度を見直すと表明しています。これは一言で言うなら、年功序列の人事制度を改め、専門性を磨いて職務の成果で評価されるようになるという意味です。そうすることで結果的に生産性が上がり、場合によっては賃上げを求めて転職も可能になることを想定しています。
電車などで新入社員の集団の会話に聞き耳を立てると、配属ガチャの話題が実に多いことに気付きます。そして、悲喜こもごものようです。
目の前の幸運に気付く力をセレンディピティと言います。また、英語には「幸運の女神に後ろ髪はない」という格言もあります。「チャンスはやってきたそのときにつかまなくてはいけない」という意味合いですが、新入社員の人たちには、配属先にどんな女神がいるのか、まず配属になってから気付き、配属後は通り過ぎる前につかむ力を養ってほしいと思います。
※掲載紙面の内容に一部修正を加えています。
(埼玉新聞 2023年4月24日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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