1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
今年のプロ野球は阪神が絶好調とこないだ行ったたい焼き屋の大将が喜んでいましたが、そうなのですか。
そうだね。阪神タイガースがセリーグの首位を独走しているよ。
関西の人は「阪神が強いと景気が良くなり株価が上がる」と信じていると聞きました。
統計的には確かに関係性はあるね。
本当ですか?「巨人が強いと景気が良い」という話も聞いたことがあるのですが…。
両チームとも強いと景気はもっと良くなるね。
それなら分かる気がします。
スポーツイベントに関連してよく経済効果の試算が出されます。イベントはある意味でお祭りです。多くの人が集まり気分が高揚してお金を気前よく使います。経済効果がある程度大きいのは自然なことです。同じイベントでも、より大きく盛り上がり、より人々の気分が高揚して、より多くお金を使う方が、経済効果は大きくなります。
こう考えると、巨人が強いと景気が良い、は自然なことなのです。ただ近年のスポーツイベントは、サッカー、ラグビー、バスケット、など他にも増えて、プロ野球の経済効果は昔と比べると小さくなりました。
それでも阪神ファンは一味違います。メジャーリーグを渡り歩いた選手でも、阪神ファンは世界一などと表現します。近年、阪神がリーグ優勝したのは1985、2003、05年。14年はクライマックスシリーズを制して優勝しています。85年はプラザ合意による円高で不況色が強まる中、阪神の優勝で大阪の街は大いに活気づき、株価はバブルに向かって上がる起点となりました。03年は不良債権の抜本処理と重なり日本経済が失われた10年を脱却する年となりました。当時の日経平均株価は20年ぶりに7千円台まで下がった後、上昇に転じました。05年は小泉郵政解散と重なり、日本の構造改革が進むという期待から株価は上がりました。クライマックスシリーズを制して優勝した14年はアベノミクスと重なり景気も株価も順調でした。このように阪神優勝は、日本経済の回復、そして株価の上昇と連動した実績があるのです。
そして今年、阪神の勝率は優勝ペースです。日本経済も、コロナ禍からの回復、インバウンド再開、半導体調達の目途のついた自動車の挽回生産、など景気を力強く押し上げる要因があります。巨人など他球団が追い上げた方が面白いかもしれませんね。ファンにしてみれば、ついに阪神優勝と景気回復と株価上昇が一緒に来る、と期待したくなるのかもしれません。ただ長いペナントレースです。まだ何があるか分かりません。
(埼玉新聞 2023年6月19日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
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