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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第33回 暑い夏と地球温暖化

今年も暑いですね。

7月の世界の平均気温は史上最高を記録したね。今年の夏は史上最も暑い夏になる可能性が高いと見られているよ。

地球温暖化と関係あるのですか。

一般的にそうだと理解されているね。また、猛暑は水害など災害とも関連しているよ。

災害は心配です。最近はクーラーをよく使っているので電気代も心配です。

そうだよね。でも9月までの電気代は政府の補助金のおかげで結構大きく割引になっているんだ。

本当ですか。電気代が安くなっているようには感じません。10月以降に値上げになるのも心配です。

今年の夏は日本だけではなく、世界中が猛暑となっています。原因は地球温暖化に加えてエルニーニョが発生したことだとされています。

気温が上がると水分は地表から減って大気中で増加します。大気中の水分はいずれ雨となって地球に降り注ぎます。雨の降り方が激しくなると、集中豪雨、ゲリラ豪雨、洪水などの水害、地滑り、深層崩壊などの災害をもたらします。

猛暑の夏に熱中症を防止して体調を維持するためには、エアコンの効果的な使用が有効です。そこで心配なのが電気代です。政府は今年1月からロシア・ウクライナ戦争や円安で値上がりしたエネルギー代金を補助金で補填しています。標準家庭で毎月2800円が電気代から差し引かれているのです。もしこの補助金がなければ、電気代はもっと大きく値上がりしていたのです。補助金は9月末までで、10月以降は打ち切りとなる可能性があります。ただ、原油価格や天然ガスの価格が既に下がっていることから、電気代もいずれは値下げになる可能性があると見られています。

心配なのは長期的な地球温暖化の行方です。コロナ禍の間には経済活動が低調だったことからCO2排出量は減少しました。しかし、経済が正常化すると再び増加に転じました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年3月の報告書で、CO2排出量の削減を加速させないとパリ協定の達成は難しいという見通しを出しました。この意味は、地球温暖化が進んで毎年のように猛暑となり、水害など災害が発生する可能性が相応に高くあるということです。当然、電気代も上がるでしょう。

地球温暖化防止に向け、一人一人が生活習慣を見直すことが大切です。そうすることが電気代の節約にもなり、電気代値上げへの対応策にもなるのです。

(埼玉新聞 2023年8月21日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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