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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第34回 生成AIのチャンスとリスク

最近、生成AIという言葉をよく聞きます。

革新的な人工知能(AI)として、産業に大きな変革をもたらすと期待されているよ。

岸田総理まで生成AIについてコメントしているのはなぜですか。

日本のIT業界は世界と比較して遅れている。しかし、この分野にはアニメなど日本が世界最先端の分野があるんだ。

生成AIが日本経済再生のキーワードになる可能性があるのですか。

その通り。この分野には大きなチャンスがあると思う。

そもそも生成AIとは何ですか。

米国のベンチャー企業が開発した生成AIが革新的だと評価されています。しかし、実はAIそのものは、ここ数年で期待外れだとして、ある意味でバブル崩壊の状態になっていました。AIを使うことで収益性の高い事業が生れるという期待がなかなか実現しなかったのです。関連企業の株価は大きく崩れていました。しかし、生成AIは数年前のAIとは全く違うものです。

生成AIのすごさは誰でもすぐ実感できます。生成AIを組み入れた検索を使えば、論理的な構成の文章で答えが返ってくるのです。例えば、「夏目漱石の坊ちゃんの読書感想文を書いて」「友人に結婚式でスピーチするので祝辞を書いて」などの使い方です。ビジネスなら、「介護施設の経費節減の方法を教えて」「やる気のない部下にやる気を出させる方法は」などの使い方もできます。出てくる答えは総じて妥当なものが多いです。日本が強みを持つ画像や映像分野では、変幻自在な編集が可能になるとみられています。

生成AIは、インターネットのワード検索を駆使して、ネット空間の中から情報をかき集めます。そして、論理的な思考や創造的な編集をするのです。弁護士の陳述、医師の問診、新聞記事の作成、俳句の作成、映画の製作なども可能だとみられています。

しかし、良いことばかりではありません。犯罪に使われたり、誤った引用からうその答えをしたり、著作権の侵害などマイナス面もあるのです。これから法整備が進むとみられるものの、試行錯誤にならざるを得ない面があります。株式市場は生成AIをテーマとして既に大きく盛り上がっています。生成AIは、多くの半導体を使うため、一部の半導体企業の株価が暴騰と言える程に上昇しているのです。今後を見極めるための重要なポイントは、生成AIを使うことで本当に収益性の高い事業が生まれるかどうか、にあると思います。

※掲載紙面の内容に一部修正を加えています。
(埼玉新聞 2023年8月28日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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