1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
最近、不用品買い取りますというリサイクル店の広告をよく見ます。
予想外の物までびっくりの高値で売れることもあるみたいだよ。
売れるということはリサイクル用品を買う人が多いのですか。
インフレで節約する人が増えている。あと円安の効果も大きいね。
円安の効果とはどういうことでしょうか。
海外旅行客にとっては円が安くなるから、日本のリサイクル品が安くなるんだ。
それならワタシも何か売ってみたいです。
最近、リサイクルショップが活況です。駅近の小さな個人商店に加え、幹線道路沿いに大型店舗を構える上場企業も増えています。リサイクル店の売り上げは右肩上がりの状況が続いています。
売れ行きが良いのでリサイクルショップは仕入れを強化しています。仕入れの強化が、一般の人々にとってはこんな物まで高値で売れる、につながっているのです。例として、古い酒、昔の子供のおもちゃ、古いアクセサリーや宝石類、一昔前のブランド品、もう使えない古いオーディオ機器、楽器、じゅうたんなどが挙げられます。
買い手の最大の動機は節約です。しかし、それ以外もあります。古い酒は、蒸留酒であれば長く品質が保持できるうえに古酒としてプレミアムが付くこともあります。昔の子供のおもちゃは海外で需要があります。日本のアニメが10年以上などの長いタイムラグを経てアジアで再放送されたような場合、アジアの子供が欲しがるのです。宝石は国際市場でドル建てで取引される国際商品です。最近の円安を受けて日本で眠っていた宝石類は実は値上がりしているのです。ブランド品は、アジアからの海外旅行客に特に人気があります。日本のリサイクル品は特にきれいだとして人気です。また、円安なので外国人にとっては安くなるのです。オーディオ機器では昔のレコードが人気です。デジタルのCDよりアナログのレコードの方が音質が良いとして人気が高まっています。高値が付くレコードも増えています。楽器やじゅうたんも、円高の時代に輸入されたものは品質が良いので高値が付き、やはり円安の効果もあって外国人に人気です。
売る側も、断捨離や終活で使わないものを処分したいニーズがあり、さらに円安やインフレで値段が上がったとなれば、一石二鳥です。
リサイクル活況の背景には、なるほど、という国際商品市況や円相場など価格を動かす経済原理が働いているのです。面白いですよね。
(埼玉新聞 2023年9月18日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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