スマホ用ページはこちら

やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第43回 人気の新NISA

今年から始まった新NISAが人気のようですね。

少額投資非課税制度の事だね。お得な優遇税制があるので多くの金融機関でNISA口座の開設が増えている。

投資は恐ろしいイメージがあります。

それは昭和世代の発想だね。

がーん…。

若い世代は全く違う。

そうなのですね。お得ならワタシも興味があります。

長期分散投資が良いよ。

NISAが改正されて今年から新NISAが始まりました。新NISAでは株式や債券など投資で得られる配当や値上がり益が非課税になる税制優遇が大幅に拡充されました。具体的には、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合計して1年当たり最大360万円、最短5年間累計で1800万円の投資まで非課税となりました。

投資のイメージは世代によって全く異なります。昭和世代には、株式などへの投資は損を出す怖ろしいものというイメージがあります。しかし、2008年に日経平均株価が7千円台で大底をつけてから既に15年、若者世代は株式などへの投資は収益性が高いというイメージを持っています。かつての米国も同じでした。

1930年代に大恐慌で株式相場の暴落を経験した米国人は、一生涯株式投資に手を出さなかった人が多かったとされています。米国の株価は1960年代に黄金の60年代と呼ばれた好況を背景に大きく上昇しました。上昇をけん引したのは若い層の新しい投資家で、この間に一世代の約30年間かかっています。その意味では日本もバブル崩壊から約30年、一世代の時間が経過しました。逆に言うと、一世代の時間をかけて恐慌や株式相場の大暴落が起こらないよう、経済運営や市場制度を整備した成果がやっと出たとも言えます。近年の事例でも、コロナ禍や2011年の東日本大震災を乗り越える頑健性を示しました。

1月から始まった新NISAでは、ネット証券5社だけのつみたて投資で毎月2300億円が投資される見込みです。ここまで人気となった一因は、投資家の立場からすると、十分に長期で分散された投資なら、ある程度ほったらかしても大丈夫だと認知されたからだと思います。

実際には全くほったらかしではありません。金融当局、中央銀行、学界、そして金融の専門家が絶えず市場経済の頑健性を検証しています。このチェック機能が機能して初めて市場経済の頑健性が保持されるのです。

(埼玉新聞 2024年1月15日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

黒瀬レポートはこちら

(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

〈当資料に関するご留意事項〉

  • 当資料は、投資環境や投資に関する一般的事項についてお伝えすることを目的にりそなアセットマネジメント株式会社が作成した情報提供資料です。
  • 当資料は、投資勧誘に使用することを想定して作成したものではありません。
  • 当資料は、当社が信頼できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
  • 運用実績および市場環境の分析等の記載内容は過去の実績および将来の予測であり、将来の運用成果および市場環境等を示唆・保証するものではありません。
  • りそなアセットマネジメント株式会社が設定・運用するファンドにおける投資判断がこれらの見解にもとづくものとは限りません。
  • 当資料に指数・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権、その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
  • 当資料の記載内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。