1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
今年から始まった新NISAが人気のようですね。
少額投資非課税制度の事だね。お得な優遇税制があるので多くの金融機関でNISA口座の開設が増えている。
投資は恐ろしいイメージがあります。
それは昭和世代の発想だね。
がーん…。
若い世代は全く違う。
そうなのですね。お得ならワタシも興味があります。
長期分散投資が良いよ。
NISAが改正されて今年から新NISAが始まりました。新NISAでは株式や債券など投資で得られる配当や値上がり益が非課税になる税制優遇が大幅に拡充されました。具体的には、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合計して1年当たり最大360万円、最短5年間累計で1800万円の投資まで非課税となりました。
投資のイメージは世代によって全く異なります。昭和世代には、株式などへの投資は損を出す怖ろしいものというイメージがあります。しかし、2008年に日経平均株価が7千円台で大底をつけてから既に15年、若者世代は株式などへの投資は収益性が高いというイメージを持っています。かつての米国も同じでした。
1930年代に大恐慌で株式相場の暴落を経験した米国人は、一生涯株式投資に手を出さなかった人が多かったとされています。米国の株価は1960年代に黄金の60年代と呼ばれた好況を背景に大きく上昇しました。上昇をけん引したのは若い層の新しい投資家で、この間に一世代の約30年間かかっています。その意味では日本もバブル崩壊から約30年、一世代の時間が経過しました。逆に言うと、一世代の時間をかけて恐慌や株式相場の大暴落が起こらないよう、経済運営や市場制度を整備した成果がやっと出たとも言えます。近年の事例でも、コロナ禍や2011年の東日本大震災を乗り越える頑健性を示しました。
1月から始まった新NISAでは、ネット証券5社だけのつみたて投資で毎月2300億円が投資される見込みです。ここまで人気となった一因は、投資家の立場からすると、十分に長期で分散された投資なら、ある程度ほったらかしても大丈夫だと認知されたからだと思います。
実際には全くほったらかしではありません。金融当局、中央銀行、学界、そして金融の専門家が絶えず市場経済の頑健性を検証しています。このチェック機能が機能して初めて市場経済の頑健性が保持されるのです。
(埼玉新聞 2024年1月15日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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