1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
最近、日本の株価が好調だと聞いたのですが。
今年もロケットスタートで上がったよ。
理由は何ですか。
一言でいうと日本経済の再生と日本企業の経営刷新だね。岸田政権の資産所得倍増計画も関係あるかな。
またバブル崩壊のようにならないか心配です。
程度問題ではあるけど経済と経営の実態は伴っているよ。
日本の株価が好調です。2023年に日経平均株価は28%と大きく上昇しました。今年に入ってからも昨年来の株価上昇の勢いが持続しています。
株価上昇の背景は、まず第一に日本の景気回復です。コロナ禍が明けて以降、波風はあっても景気は回復傾向を維持しています。第二にデフレ脱却です。インフレ率の上昇は、そっくりそのまま企業収益を持ち上げます。第三に日本企業の経営革新です。昨年以降、東京証券取引所は上場企業に対し、諸外国と比較して遜色のない財務内容となるようガバナンス体制を改善する要請をしました。この効果は大きく、多くの企業が改善策を発表しました。総合すると、日本は失われた30年から脱却して経済の再生が実現しつつあるのです。
日経平均株価は1989年末の史上最高値にもう一歩のところまで上昇しています。ただ、当時と今では中身は全く違います。日経平均株価を構成する225銘柄が変わっているので単純比較はできません。しかし、イメージとして企業収益は4~5倍にも増加しました。それでも株価がまだ最高値よりまだ低い原因は、日本企業の先行きに対する期待感が大きく低下したからです。当時は世界の金融センターの中心が、ニューヨークから東京にシフトするとみられていました。今の株価は、当時のような荒唐無稽な期待感を織り込んでいないという身の丈という意味では健全です。
岸田政権は資産所得倍増計画を進めています。日本には約2千兆円の家計資産があり、22年度の利子、配当、投資で生じた所得は約26兆円でした。政権は、新NISAなどにより貯蓄から投資の流れを加速させて、この倍増を政策的に進めています。
投資にリスクはつきものです。そこで新NISAのつみたて投資枠では、投資対象を十分に分散した長期投資の金融商品などに限定しています。こうすることでリスクをある程度は抑制できます。岸田政権が進める資産所得倍増計画は順調に進んでいます。
(埼玉新聞 2024年2月12日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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