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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第46回 金融教育は大事です

最近よく金融教育という言葉を見かけます。

政府は資産運用立国の一環で国家戦略として推進している。積極的に受けた方が良いと思うよ。

何かお得なことはありますか。

大いにある。銀行や証券など金融機関も金融教育には関与しているよ。実は義務教育ではもう既に始まっている。

学生の皆さんに「りそにゃ、そんなのも知らないの」って言われないようにワタシも勉強しないといけないですね。

政府は資産運用立国を実現するため「資産所得倍増プラン」を策定しています。これは七つの柱から成り、その一つが金融教育の拡充です。金融教育には四つの分野があり、小学校から高校まで体系的に学べるよう設計されています。四つの分野とは、①生活設計・家計管理に関する分野、②金融や経済の仕組みに関する分野、③消費生活・金融トラブル防止に関する分野、④キャリア教育に関する分野、です。よくよく見れば、どれも大事なことばかりです。なぜ今まで学校で教えられていなかったのか、逆に不思議な感じさえします。

金融広報中央委員会が2022年に実施した調査では、日本で「金融教育を学校で受けた人の割合」は7%、米国は20%でした。また、「金融知識に自信がある人」の割合は日本が12%なのに対し米国は71%でした。日本では、金融資産は銀行預金に置いておけばまあ良い、という風潮が強くあることが、これらの差異の背景にあるとみられています。

そこで政府は、金融教育を受けた人の割合を28年度末に現状の7%から米国並みの20%に増やす方針で、5年間で1200万人に金融教育を実施する計画を示しています。4月には官民による金融経済教育推進機構を立ち上げ、職場や学校で教育を実施してお金に関する無料の個別相談に応じる場を設ける方向性です。

金融教育は12年にOECDがG20での承認を得て国際的な運動として始めました。これを受けて先進各国は国家戦略として進めているのです。なぜ金融教育が国家戦略となる程に大事なのでしょうか。ネットで簡単に金融商品にアクセスできるようになった一方、金融商品が複雑化して十分な理解なしに購入・契約して損失を被るケースが増えたためです。金融教育の範囲は、投資、借り入れ、サブスク、など多岐にわたります。金融教育の重要性はネットの時代の要請でもあるのです。

(埼玉新聞 2024年2月26日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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