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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第47回 好調な食品輸出

最近、海外から旅行に来ている方をよく見かけます。

インバウンドは政府が進めた政策の中では例外的ともいえる大成功だよ。

おすしやラーメン店が海外の人には人気だと聞きました。

日本で体験した食事がおいしくて本国に帰ってからも食べたいニーズから輸出が増加している。

日本の食品はそんなにおいしいのですか。

その通り。しかも今は、円安のおかげで安くて日本にしかないものが多い。

ワタシの大好きなたい焼きも世界のみんなに食べてほしいです。

政府は訪日外国人旅行客、インバウンドの増加を成長戦略の一環で進めています。2008年には観光庁が設立され、観光立国に向け政策が推進されました。そして、訪日外国人数の一定数の増加はすでに達成できたとして、今後は質の向上に注力する方針です。23年の「観光立国推進基本計画」では、コロナ禍前への回復と1人当たり消費額が25%増加して20万円になることを目標としました。計画立案からまだ1年弱ですが、すでに達成が視野に入っています。

インバウンドには広がりがあります。初めて体験する日本文化の素晴しさが理解されて広がりを持つのです。富士山から自然の風景、茶道から和室や古民家、花見から紅葉狩りや日本食などです。中でも日本食には大きな広がりがあります。外国人からすれば、日本での食事は本国と比較して3倍おいしくて値段は3分の1なのです。日本でしたいことをアンケート調査すると、日本食が一番になるほどです。しかも、日本の食文化には世界に類がないオリジナリティーがあります。

この流れの恩恵を受けたのが食品輸出です。食品は衛生上の検疫、さらに食習慣は国や文化によって大きく異なるため、輸出振興のためには発想の転換が必要でした。そこで政府は現地マーケットのニーズに合うものを輸出する「マーケットイン輸出」を進めています。例えば、豚肉を使わないイスラム教国家向けの承認制度や、慶事で赤色が好まれる中国向けリンゴ輸出などです。その結果、通関統計の食品輸出は順調に伸びています。19年には6401億円でしたが、23年は9204億円でした。政府は広義の食品輸出を25年に2兆円、30年には5兆円とする目標を立てています。

農業は埼玉県の主要産業の一つです。インバウンドと食品輸出の好循環が埼玉県に恩恵をもたらすことを期待したいですね。

(埼玉新聞 2024年3月11日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からはNewsPicksプロピッカーとして「THE UPDATE」などに出演中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(経歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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