1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
3月に日銀が利上げしたと聞いたのですが…
日銀はさまざまな金利の基礎となる政策金利を決定する。利上げはこれを引き上げることで、日本経済を良くするためのかじ取りだよ。
利上げすると日本経済は良くなるのですか。
今回はそう見てよい。金融経済を学んでリテラシーを高めると、経済や金融市場の先行きがある程度は読めるようになるよ。
予測できるようになれるのですか。
ある程度はね。
ワタシも予測ができるようになれば、大好物のたい焼きをたくさん買えるようになりますね。
資金を貸し借りすると利息が発生します。金利は利息計算のための賃貸料率です。金利には、住宅ロ-ン金利、預金金利、奨学金金利、クレジットカードのリボ払いの金利、など多くの種類があります。日銀が決める政策金利は、さまざまな金利の基礎となるもので、最も低い水準になります。そして、借入期間や信用力など条件に応じて変動します。
政策金利が変動すると損益が発生します。たとえば、預金を持つ人は、金利が上がると受取利息が増えて得をします。増えた利息で買い物をすれば、恩恵は販売店にも及びます。今回は17年ぶりの利上げだったこともあり、タンス預金が銀行預金に流入しています。逆に借入金のある人は、支払利息が増えるので負担が増加します。その人が他の支出を節約すれば、悪影響は売り上げが減る店にも波及します。日本銀行は、全ての波及効果を想定して、全体として日本経済が良くなるように政策金利を上げたり下げたりします。
日銀による今回の決定は、日本経済の再生、日本企業の経営革新、個人所得の増加を反映する前向きな動きと理解できます。日本経済は求人数の増加にみられるように良くなりました。日本企業の経営革新は、史上最高益が雄弁に物語っています。賃金は、データがまだ出そろっていないとはいえ、春闘で力強い賃上げが続々と発表されました。
日銀は今回の利上げについて、金融緩和を維持するものであり、景気を押し上げる効果は続くと説明しています。日銀といえども金融政策の方向性を誤ることはあります。今回の利上げについても、市場では誤った内容の利上げになることが懸念されていました。しかし、その懸念はほぼ払拭されました。日銀の説明は総じて正しいとして金融市場は歓迎する値動きを示しました。日本経済の回復基調は維持できると思います。そして、企業経営にとっても安心できる材料になると思います。
(埼玉新聞 2024年4月8日掲載)
1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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