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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第65回 2025年の経済見通し

もう、今年も終わってしまいますね。

証券業界では来年の経済予測を出すのがこの時期の恒例行事だよ。

来年は、どうなるのか気になります。

米国トランプ大統領の復帰で実際に何が起こるか、期待と不安が入り混じっている。

そうなんですね。

トランプ次期大統領は交渉のために手の内を明かさないから予測不能とされている。

ドキドキしますね。

まず世界の経済情勢です。IMF(国際通貨基金)などの国際機関は3%台前半の安定した成長を見込んでいます。今年後半の流れが続くイメージです。ただ問題はリスクが多いことです。

2025年1月に米国大統領にトランプ氏が就任します。政策次第で世界経済は大きな下押し圧力を受ける可能性があります。具体的には、関税の引き上げ、不法移民の送還、さらには中東や東欧での紛争の行方、その余波で原油価格の動向です。もしこれらが顕在化すると、世界経済の成長率を1.0~1.5%押し下げる要因になると見られています。多くの先進国はマイナス成長に陥ると見られます。当然、株価も下落するリスクがあります。

次に日本です。25年度の経済成長率は約1.0%が大方の見方です。今年度が0.7%程度となりそうなので、少し良くなるイメージです。物価も沈静化が続く見込みです。今年度の消費者物価上昇率は前年比で2.5%程度ですが、来年度は1.9%程度となりそうです。

今年の日本経済は、数字の上ではまずまず良い状況でした。しかし、個人の肌感覚は芳しいものではありません。原因は、賃金が上がってもそれ以上に物価が上がったからです。結果的に個人の消費はさえないままでした。25年度は高い賃上げが継続する上に物価の沈静化が続くことから、個人消費の見通しはやや明るくなると思います。

日本では来年7月に参議院議員選挙があります。先の衆議院選挙で自公連立政権は過半数を割り込みました。それでも政治が一定の安定を維持したのは、参議院では自公連立政権が過半数を維持していたからです。野党としても強引な交渉は出来なかったのです。しかし、参議院選挙の結果次第では、政治が一気に流動化する可能性があります。

政治が流動化すると経済も大きな影響を受けます。野党の政策の中には与党より優れた提案も多くあります。政治の流動化が経済にプラスとなるかどうかが注目点になりそうです。

(埼玉新聞 2024年12月16日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(略歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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