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戸田浩司の『サクッと!3分間コラム』第5回
「不確実な時代」に、運用のプロはどう動く?

最近、「世の中は不確実性が高まっている」というフレーズをよく耳にするようになりました。たしかに過去5年間においても、新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、中東での地政学リスクの高まり、そして予測困難で変動の大きい米トランプ政権の政策など、先行きが読みにくい事象が頻繁に発生しています。

こうした際、金融市場の状況を示す表現としてメディアで、「不確実性が高まっているので投資家の様子見姿勢が強まっている」と解説されることが多いです。しかし、運用の観点からすると、この「先が見えにくいので様子見」という姿勢は本来望ましくありません。私たち運用のプロは、不確実な環境においても投資を継続するため、様々なシナリオやリスクを想定し、投資の意思決定をしていきます。

そのような不確実性のある環境下において投資判断を行う際に注意すべきことについて、私なりの考えをご紹介したいと思います。

不確実性に備える投資判断の心得

まず、様々なシナリオやリスクを想定する中で、安易に、「風が吹けば桶屋が儲かる」(○○の事象が発生すれば、回りまわって××の結果になるはず)という発想で判断をしないことです。今後発生する事象の可能性とその場合の対処法をシナリオ分析することは重要ですが、それはその実現可能性が高まった際に遅滞なく対処するための備えであり、投資判断と直結しません。各種のシナリオの中だけで当て推量で行動を起こすことは、単なる「思惑」投資で、実際に想定通りに事が進まなかった場合には、大きなリスクを招きかねません。
そして、「不確実性が高い」ということは、想定通りになるか見通しづらいということですから、想定外となるリスクの可能性も相当に高いということになります。

多くの運用者はこうしたことは頭では分かっていても、実際に「不確実性が高まった」際は何かのよりどころに頼りたいと思うがゆえに、市場等で一般的に言われているシナリオや意見に引っ張られ、思惑で判断してしまうことが往々にあります。

市場を揺るがした現実

ここで、過去において、一般的に語られていたシナリオと、実際の結果が大きく異なった事例をいくつかご紹介しましょう。

  • 2011年 東日本大震災

2011年東日本大震災が発生し、日本経済と地域社会に甚大な影響が生じました。その中で当時の一般的な投資環境見通しとしては、「当面日本経済は立ち直れず、特に内需、消費関連企業には悪影響が大きい」と言われていました。しかし実際は、大震災を通じて地域インフラとしてのコンビニエンスストアの役割が再認識され、消費関連株が株式市場をけん引しました。

  • 2020年 新型コロナウイルスによるパンデミック

2020年以降のパンデミック時には、「ロックダウンで世界経済は大不況期に入り、グローバルでビジネス、物流を展開する企業は大打撃を受けるはず」、という声が強くありました。しかし実際の2020年度の相場は、経済回復を先取りした電機セクターを中心に大きく上昇し、物流の混乱・サプライチェーン問題の発生が海運市況を押し上げたことで、海運業界は未曾有の利益を上げ株価も暴騰しました。

  • 2022年 ロシアによるウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナ侵攻時も「ロシアビジネスが多い商社は甚大な影響を受けるはず」という多くの市場関係者の見通しに反し、商社は資源価格上昇の恩恵もあり業績が急拡大しました。

このように、不確実性が高まったときに、一般的に「多分こうなるのではないか?」と広く信じられていた見通しと、実際に市場で起きたことがかけ離れていた、ということが多いのです。

現場から学ぶ確かな投資判断

では、「思惑」による投資で思惑外れにならないためには、不確実性の強い環境でどのように投資判断をすればよいのでしょうか?

これは地道に発生事象やデータを丹念にフォローし、こまめに企業取材を重ねて現場で何が起こっているのかを確認することに尽きると考えています。

世間で考えられている「思惑」に縛られず、実際に発生していることとのギャップを発見できれば、大きな投資チャンスとなりますし、現場で確認できたことは「不確実性」を解消する要因にもなります。

現場力で挑む不確実な時代の運用

りそなアセットマネジメントの株式アクティブ運用では、経済、金融ストレスなどのデータをチェックしつつも、ボトムアップリサーチを重視し、企業の現場情報を積み重ねて投資判断を行っています。現場から得られるリアルな情報こそが、不確実な時代における最大の武器です。だからこそ、私たちは丹念に、そして粘り強く調査を続けていきます。

これからも、現場情報の中での新たな気づきやリスク要因を丹念、きめ細やかに調査することで、経済環境や産業構造の変化にも迅速に対処できると、我々は確信をもって運用を行っています。

りそなアセットマネジメント株式会社
株式運用部
ファンドマネージャー戸田 浩司

〈当資料に関するご留意事項〉

  • 当資料は、投資環境や投資に関する一般的事項についてお伝えすることを目的にりそなアセットマネジメント株式会社が作成した情報提供資料です。
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