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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第83回 AIの進化

最近の人工知能(AI)はごく短期間で明らかに進化して、もう何にでも使える。

あまり使ったことがありません。

AIの賢さに驚くよ。

そんなに便利なのですね。一度使ってみようかな…。

AIの進化は関連株価の上昇にも大いに関連している。

株価にまで影響があるのですね。

ここ数年、世界的にAI関連の株価が大きく上昇しています。米国なら半導体製造のエヌビディア、日本ならソフトバンクなどです。エヌビディアは少し前に株式時価総額が史上初めて4兆ドルを超えました。日本の株式時価総額の約65%を1社が占めているのです。AI革命を実感するには、まずはAIを使ってみることが早道かもしれません。

総じてITは、人間が使う道具と位置付けられます。思考するのは人間でITはそのための手段です。手段ですからほとんどのITは従来からあるものの代替です。たとえば、電子メールは郵送の、ホームページは冊子やパンフレットの、エクセルは手書きと手計算の、パワーポイントは手書きプレゼンテーションの代替です。指示を出すのはあくまで脳のある人間です。しかし、AIは人間の代わりに思考します。言い換えればAIには脳のような機能があるのです。ここに本質的な違いがあります。

AIは身近な問題から時事問題まで、人間の脳のような思考の結果として何でも答えてくれます。たとえば、「お得に大阪旅行に行くためのプランやチケットはありますか?」「ベランダ栽培の野菜が元気ないんだけど、写真を送ったら診断してもらえますか?」「映画『国宝』はなぜヒットしているのか教えてください」ーなどです。もちろん仕事にも使えます。「最近の株価上昇の背景と今後の見通しを教えてください」「日銀が年内に利上げするかどうかの見通しは?」ーなどです。

昔のAIはパターン化されたものの再現しかできませんでした。しかし、今のAIは人間の脳のように思考するのです。さらに思考は、熟慮、推論へと進化しています。将来的にはAI同士が熟議するようになるとも見られています。思考するAIはロボットへの実装も進んでいます。

AIは現在進行形の技術ですので、AI革命の全容はまだ見えません。それが故に、場合によっては過度な期待感から、後から振り返ればバブルだったと判明するリスクはあります。AIが社会に実装されて期待に沿う高い利便性を本当にもたらすのかを絶えずチェックする必要があります。

(埼玉新聞 2025年9月8日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(略歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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