1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金
イランについてのニュースをよく見ますが、何か影響はありますか?
近年の金融市場は多くのショックを乗り越えた実績があるから、市場は楽観的かな。
多くのショックとは何ですか。
コロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争、高インフレ、トランプ関税などかな。
確かにみんな大騒ぎしていましたね。
後から振り返れば、大きなショックがあっても景気は総じて安定、株価など金融市場の調整も短期間で済んだ。
2020年以降のショックによる経済への逆風は非常に大きなものでした。コロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争、その後の原油価格急騰と高インフレ、インフレ鎮静化のための大幅な利上げ、昨年のトランプ関税などです。これらは戦後経済史に残るショックと比較しても相対的に大きなものでした。それでも経済は大きな後退に至らず、概ね成長路線を維持しました。結果的に世界の株価など金融市場の調整は総じて短期の浅いものでした。
この背景には世界経済のレジリエンスがあります。レジリエンスは「復元力や回復力」と訳されます。ショックによる下押し圧力を受けても跳ね返して元に戻る力という意味合いです。これは人間も同じです。大きなショックがあっても、平気な人もいれば、落ち込んでなかなか立ち直れない人もいます。昨今の世界経済には大きなショックがあっても大きくは落ち込まない傾向があるのです。
理由は大きく分けて三つあります。金融政策では、量的緩和など大胆かつ機動的な対応が功を奏しました。財政政策では、政府が大きな財政赤字をタブー視せず、景気を支えるため積極的な政策対応を実施しました。ただし、後世に財政赤字を残すという意味では問題先送りの面はあります。最後に企業部門の値上げを含むサプライチェーンマネジメントの変化への適応です。これにより市場経済の調整メカニズムが上手く機能するようになったと見られます。
レジリエンス教育が重要視されて普及した効果も見逃せません。これは天災や事故やショックに対し、落ち込まずに早く回復するための教育です。レジリエンス教育は個人の心の持ちようだけではなく、社会全体を包含するシステムとして事前防止や迅速な正常化や早期復興など行政や地域や産業を巻き込んで進められました。
イラン情勢について、まだ大きなリスクが残っています。ただ、ショックに対し委縮するのではなく、仔細にその正体を見定めて、前向きに対応することが求められています。
(埼玉新聞 2026年5月18日掲載)

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。
(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)
(略歴)
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