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やさしく解説 “りそにゃ”のお金のギモン 人生100年時代の生活とお金

第100回 AI革命と日本経済

最近、景気はさえないのに株価だけ急上昇していると思わない?

たしかにそうですね。

株価は景気の先行指数なんだ。

もしかして、これから景気が良くなるという意味ですか。

そう理解して良いと思う。

なぜ景気が良くなりそうなのですか。

日本にもAI(人工知能)革命の恩恵が及んできた。

最近の株価の急上昇については、連日のニュースで報じられています。イラン情勢が不安定化した3月に日経平均株価は急落しました。しかし、今から振り返れば3月下旬に大底をつけ、その後は上昇トレンドに入りました。4月下旬には6万円台に乗せました。その後もやや乱高下しつつ総じて堅調に推移しています。

株価は概ね景気の半年前に動く先行指数と位置付けられています。ということは、足元の株価はこれから日本経済が良くなり、企業収益が改善することを織り込んでいるのです。

イラン情勢が不安定な状態は今も続いています。しかし、よほどのネガティブ・サプライズがない限り景気は回復の方向に向かう可能性が高いと思います。

内閣府が示す景気の基調判断は、3月に「上方への局面変化」へと引き上げられました。それまでは2024年5月以来の「下げ止まり」でしたので、約2年ぶりに景気が上向き始めたのです。イラン情勢の不安定化で不安感が極度に高まっていた3月に景気の面で転機は来ていたのです。

では何が景気をけん引するのでしょうか。IT(情報技術)関係の景況感の山であるブームは3~4年ごとに訪れます。このサイクルをシリコンサイクルと呼びます。近年では、2015年、18年、22年に山をつけています。サイクル的には25年にブームが来ると期待されていたのですが、相当に遅れて今年こそブームになりそうな情勢です。けん引するのはAI関係の巨額の投資です。AIは発電から送配電網、半導体、データセンター、大規模言語モデル、アプリと巨大なインフラを形成します。人々が使うAIはスマホやPC上でのアプリです。しかし、その背後で巨大なインフラ建設のための投資ブームが起こり、その恩恵が日本経済に及び始めたのです。経済指標では工作機械受注の底入れなどに明確に表れ始めました。

AI革命という言葉は、今はまだ人口に膾炙していません。しかし、AI産業の勃興は、経済構造を大きく変えるインパクトを持つ可能性を秘めているのです。

(埼玉新聞 2026年5月25日掲載)

チーフ・エコノミスト/チーフ・ストラテジスト 
黒瀬 浩一

黒瀬浩一

1999年より20年以上にわたり、エコノミスト/ストラテジストとして資産運用業務に一貫して従事。「りそなの顔」としてBSテレビ東京「日経+9」、日経CNBC「昼エクスプレス」等のレギュラーコメンテーターを務めるなど、情報メディアへの執筆・出演も多数。2023年からNewsPicksプロピッカーに就任。資産形成Webメディア「finasee(フィナシー)」にコラムを連載中。

(著書)
「時代の「見えない危機」を読む ――迷走する市場の着地点はどこか」(2020年、慶應義塾大学出版会)

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(略歴)

  • ―1987年 慶応義塾大学 商学部を卒業後、大和銀行(現りそな銀行)に入行
  • ―1990年 ダイワ・オーバーシーズ・ファイナンス(香港)を皮切りに一貫して証券投資業務に従事
  • ―1996年 公益財団法人国際金融情報センターで米国担当シニアエコノミストに従事
  • ―1999年 信託財産運用部(現りそなアセットマネジメント株式会社)にて、一貫してエコノミスト、ストラテジスト業務に従事

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